ゲンノショウコ

ゲンノショウコ（現の証拠）

ゲンノショウコ（Geranium thunbergii）は、日本全国の山野や道端で見られるフウロソウ科の多年草です。その名の由来は、古くから下痢止めや胃腸薬として用いられ、その効果が「実際に効く証拠」として認識されたことにあります。別名としてフウロソウ、ミコシグサなどがあります。

名称の由来

和名「ゲンノショウコ」は、「現（験）の証拠」という字が当てられ、実際に効果がある証拠という意味を持ちます。その他、別名として、花の形からロウソクソウ、果実の形が神輿に見えることからミコシグサなど、様々な名前で呼ばれています。また、効果がすぐに現れることから、イシャイラズ（医者いらず）、タチマチグサ（たちまち草）といった異名も存在します。

花言葉は「心の強さ」です。

分布と生育環境

ゲンノショウコは、日本全国（北海道、本州、四国、九州）に分布し、国外では朝鮮半島や中国大陸にも見られます。日当たりの良い野原、道端、林縁、山野、水田のあぜなどに自生しています。花の色には変異があり、東日本では白い花が多く、西日本では淡紅色、日本海側では紅色の花が多く見られます。

形態と生態

多年草で、茎は30-70cmに伸び、全体に毛があります。葉は対生し、掌状に深裂します。夏から秋にかけて紅紫色または白色の花を咲かせます。花弁は5枚で、先端が少しへこんでいます。果実は熟すと裂開し、種子を弾き飛ばします。

薬草としての利用

ゲンノショウコは、ドクダミ、センブリと共に、日本三大民間薬の一つとして知られています。主な有効成分はタンニンで、収斂作用や消炎作用、止血作用があります。下痢止めや胃薬として、乾燥させた茎葉を煎じて服用します。ただし、漢方薬としては用いられません。

採取時期は7-9月頃で、根を除いた地上部を刈り取り、天日で乾燥させます。服用する際は、1日量10-20グラムを水で煎じ、煮詰めたものを食後に分けて服用します。便秘の場合は、量を減らして服用します。また、煎じ汁はうがい薬や湿布薬としても利用できます。

中国では、神経痛に効果があるとして、ゲンノショウコの仲間が利用されています。

食用としての利用

若芽、若葉、花は食用にできます。採取時期は4-8月頃で、若芽の頃に採取します。灰汁が強いため、熱湯で茹でてから水にさらし、灰汁抜きをします。和え物、油炒め、煮びたし、佃煮などにして食べます。また、天ぷらにしても美味しくいただけます。花はサラダの彩りとして利用できます。

ただし、若葉はトリカブトなどの有毒植物と似ているため、開花期に花を確認してから採取するのが安全です。

季語

ゲンノショウコは夏の季語として用いられます。

ゲンノショウコは、薬草としての利用だけでなく、食用としても楽しめる、日本の風土に根ざした植物です。

もう一度検索