ゲームパソコン

ゲームパソコンとは

ゲームパソコンとは、コンピューターゲーム、特にアクションゲームやリアルタイムストラテジーのような高速な画面表示を必要とするゲームの実行に特化したパソコンのことです。1979年頃から1992年頃に普及し、当時のPCゲーム環境を大きく発展させました。

家庭用ゲーム機とは異なり、パーソナルコンピュータの機能を拡張する形でゲームに特化している点が特徴です。近年ではゲーミングPCと呼ばれる製品群が該当しますが、かつてはメーカーが「ゲームパソコン」と銘打って製造・販売していました。

本稿では、主にそのような時代の古いコンピューター製品について解説します。現在の高性能なゲーミングPCについては、別の記事をご参照ください。

黎明期のゲームパソコン

PC/AT互換機|PC_AT互換機が主流となる以前、各社が独自のアーキテクチャを持つパソコンを販売していた時代には、ゲーム実行環境の優位性で市場拡大を目指した製品が見られました。しかし、当時の日本では、パソコン御三家と呼ばれるメーカーの製品は、ゲーム実行に特化したものではなく、むしろ不利な側面もありました。

一方、MSXに代表される比較的廉価なコンピューターは、低年齢層をターゲットとしていたこともあり、ゲーム実行に有利な機能が搭載されていました。

日本のパソコンの歴史は1978年9月に発売された日立のベーシックマスターより始まります。当時はパソコンが高価だったため、1980年代にはゲームに特化し、価格を抑えたゲームパソコンが各社から発売され、人気を博しました。しかし、1990年代に入り、高性能パソコンの価格が低下すると、ゲームパソコンの存在意義は薄れ、市場から姿を消していきました。

ゲームパソコンの特徴

ゲームパソコンは、ゲーム機とパソコンの両方の特徴を併せ持っています。主な特徴は以下の通りです。

家庭用テレビ受像機に接続して使用可能
ROMカートリッジでゲームを提供
簡素なキーボード（ゴム製のチクレットキーボードなど）を搭載
ジョイスティックなどを接続できるコントローラ端子を装備
スプライト機能による描画
グラフィックやサウンドに関する命令が強化されたBASIC言語
10万円以下の安価な価格設定

これらの特徴により、ゲームパソコンは手軽にゲームを楽しめる環境を提供しました。

ホビーパソコンと比較すると、ゲームパソコンは主記憶装置や補助記憶装置の容量、表示解像度などの制限から、用途が限定される傾向にありました。

代表的なゲームパソコン

以下は、当時ゲームパソコンに分類されていた代表的な機種です。

NEC PC-6001
コモドール VIC-1001(VIC-20)
SORD M5
カシオ PV-2000
松下電器等各社 MSX1/MSX2
アタリ ATARI400/ATARI800
コモドール コモドール64
シンクレア ZX Spectrum

これらの他にも、玩具の販売チャネルやゲーム機の拡張機器として、同様の機能を持たせる製品が発売されました。

コモドール マックスマシーン
トミー（後のタカラトミー） ぴゅう太
バンダイ RX-78 GUNDAM
セガ SC-3000
任天堂 ファミリーベーシック

これらの製品は、当時のゲーム市場を盛り上げ、現在のゲーミングPCの礎を築きました。

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