コウミスズメ

コウミスズメについて

コウミスズメ（小海雀、学名：Aethia pusilla）は、チドリ目ウミスズメ科に属する海鳥の一種です。この種は体長約15cmとウミスズメ科の中で最も小型であり、スズメに似たサイズ感を持っています。一見して丸みを帯びた体型が特徴で、くちばしや首、尾羽は短く、全体的に愛らしい印象を与えます。

形態

コウミスズメのくちばしは先端が赤く、特有の美しい飾り羽があります。目の後ろには細長い白い羽毛があり、これがさらにその魅力を引き立てています。羽毛は灰黒色で覆われており、冬羽では腹部は白一色ですが、夏になると腹に白と灰黒色のまだら模様が現れることが見られます。特にくちばしの上部に現れる白髪のような細かい羽毛が、この種の特徴の一つです。オスとメスの羽色に違いはなく、外見から性別を識別することはできません。

分布

コウミスズメは千島列島からアリューシャン列島、そしてベーリング海の島々で繁殖しています。冬には、これらの地域近くの海上で小さな群れを形成して活動します。日本では特に冬季に北日本の海上で観察することができ、多くの人々に愛されています。推定個体数は約900万羽とされ、ウミスズメ科の中でも特に多くの生息数を誇ります。

生態

この鳥は海底へ潜水して、ケンミジンコや小魚などの動物プランクトンを捕食します。食物を求めている際には、海底から上昇する湧昇流を利用してプランクトンが集中する場所を狙い、非常に効果的に潜水します。コウミスズメは非常に食欲が旺盛で、1日に自身の体重の約86%に当たる量の餌を消費します。

繁殖期には、海岸の崖に大きな繁殖地（コロニー）を作ります。アリューシャン列島やセントローレンス島、リトルダイオメード島には、なんと100万羽もの個体が集まる大規模な繁殖地があります。これらのコロニーには他のウミスズメ類が混在することも多く、賑やかな光景が広がります。繁殖は岩の隙間に1個だけ卵を産み、両親が協力して卵を抱卵し、ヒナの育成を行います。巣立ったヒナはすぐに潜水技術を身につけ、自ら餌を捕るスキルを習得します。

一方で、コウミスズメは環境の危険にもさらされています。原油流出などの事故によって多くの個体が命を落とすことがあるほか、繁殖地ではホッキョクギツネやネズミといった捕食者にも狙われています。しかし、この種はそれにもかかわらずウミスズメ科の中では最も多く存在し、その存在域においては比較的一般的な種と見なされています。

関連項目

• - 日本の野鳥一覧

コウミスズメはその愛らしい外見と興味深い生態から、多くの人に親しまれています。

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