コクタン

コクタン（黒檀・烏木）

概要

コクタンは、カキノキ科に属する熱帯性常緑高木で、英名はエボニー（Ebony）です。主に南アジアからアフリカにかけて広がる地域に自生しており、特にインドやスリランカがその発祥地です。古代から木材として人気があり、家具や楽器など多岐にわたって使用されています。特にセイロン・エボニーは、唐木の一つで、代表的な銘木として知られています。

形態

コクタンの樹高は最大約25メートルに達し、幹の直径は1メートル以上に成長しますが、その生育速度は非常に遅いと言われています。幹は滑らかで黒褐色をしています。葉は長さが6から15センチメートルの長円形で、平滑かつ革質で、光沢があります。花は雌雄同株で、雄花は小さな集まりを形成し、雌花は単独で存在します。また、小さな果実も実り、直径約2センチメートルで、カキの実に似た食用の実をつけます。

種類

コクタンにはさまざまな種があります:

• - Diospyros ebenum (セイロン・エボニー): インドやスリランカ原産で、木材供給量が最も多い品種。
• - Diospyros celebica (マカッサル・エボニー): インドネシアのスラウェシ島に特有で、独特の縞模様が際立つ。
• - Diospyros malabarica: ラオス産で、白と黒の斑模様が特徴のエボニー。
• - Diospyros mun: 青黒檀とも呼ばれ、緑がかった特徴を持つ。
• - Diospyros crassiflora (アフリカン・エボニー): アフリカ全土に分布し、高級家具や楽器の材料として重宝される。

利用法

コクタンは、漆黒の色合いと重厚さ、そして堅固さが特徴で、心材として非常に評価が高いです。このため、家具や仏壇、仏具、建材、楽器のほか、ブラシの柄など多様なアイテムに使用されます。特に、ピアノの黒鍵やヴァイオリンの指板、三線の棹、カスタネットといった打楽器、またチェスの駒などにも利用されています。

エボナイズとその背景

エボニーはその美しさから高価で取引されるため、時には色の薄い木材に染色を施したものも出回ります。この行為は「エボナイズ」と呼ばれ、多様な材料を使って加工が行われています。エボナイズされた木材は、価格を抑えつつも見た目をエボニーに近づけるため、特に楽器を中心に用いられることが多いです。

違法伐採の問題

一方で、特にアフリカン・エボニーに関しては違法な伐採が多く問題視されています。欧米やアジアで高額で販売されるため、マダガスカルや他のアフリカ諸国では、武装したギャングによる強奪が頻繁に報告されています。そのため、ワシントン条約においても特に厳しく管理されており、証明書の提出が義務付けられています。2012年には、有名な楽器メーカーがマダガスカルのエボニーを無許可で輸入したことで多額の罰金を科せられる事例もあり、国際的な法律と規制が重要視されています。

結論

コクタンはその美しさと特異な特性から、世界中で高く評価されている木材です。しかし、持続可能な利用を確保するためには、倫理的な取引と管理が求められていることを忘れてはなりません。コクタンの価値を理解しつつ、その利用が環境保護の観点からも持続可能であるべきであることが今後の大きな課題です。

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