コクチバス

コクチバスについて

コクチバス（小口バス、英名：Smallmouth bass）はサンフィッシュ科オオクチバス属に属する淡水魚で、その学名は Micropterus dolomieu です。主に北アメリカを原産地とし、日本には1925年に赤星鉄馬によって放流されました。コクチバスには2つの亜種があり、日本に生息しているのは原名亜種の Micropterus dolomieu dolomieu です。この魚はオオクチバス（ラージマウスバス）とともに、一般的に「ブラックバス」と呼ばれることが多いですが、口の大きさや体色が異なるため、見分けることができます。

分布

コクチバスは主に北アメリカのカナダ南部やアメリカ中東部に生息しており、現在は日本の北海道や本州でも確認されています。日本への移入は、主に遊漁目的で行われたとされます。

形態

成魚のサイズは通常30から50センチメートルほどで、最大69センチメートルに達した個体も報告されています。特徴的なのは、体が側偏し、背面が盛り上がっていることです。体色は上から見ると茶褐色で、腹面はやや褐色がかった白銀色をしています。特に危険を感じたり捕食行動を取ったりする際には、体側に虎縞状の模様が顕著に現れます。オオクチバスに比べると口が小さく、上顎の後端は目の後ろに達しないことが一般的です。

生態

コクチバスはオオクチバスが主に温暖な止水域に生息するのに対し、より冷水や流れの速い河川に適応しています。清流、渓流、清澄な湖沼などにも生息し、食性は他の魚や水生生物、昆虫など幅広く、特に体長の44%から66%の小魚を好んで捕食します。寿命は通常約8年程度とされており、オオクチバスよりも若干短命です。

外来種の影響

コクチバスは捕食圧に関する問題を引き起こしています。冷水の河川でも生息できるため、在来種に対して競争力があり、その影響が懸念されています。これまでに確認された捕食対象は、アユやイワナ、ウグイ、ヒメマス、ヤマメ、ヨシノボリ、ワカサギなど多岐にわたり、これらの生物の減少が報告されています。特にカナダや南アフリカでも、その導入後に在来生物が減少した事例があり、日本でも「特定外来生物」として無許可の飼養や輸入が禁止されています。

日本における歴史

コクチバスは日本において1925年に放流され、1990年代には福島県や長野県などで繁殖が確認されました。特に野尻湖や檜原湖では地域の観光資源として利用されました。一方で、本栖湖などでは駆除活動が行われ、根絶に成功した例もあります。2023年には岐阜県で成魚が発見されるなど、再び分布が広がってきていることが懸念されています。

遺伝的知見

遺伝的研究の結果、日本国内でのコクチバスは遺伝的多様性が低いことが示されました。特に福島県では特定のハプロタイプが確認されており、日本各地での分布には地域差があります。このことから、日本国内への導入は少数回の移入であったと考えられています。

利用

コクチバスは釣りの対象として人気があり、特にその引きの強さが評価されています。また、食材としても優秀ですが、寄生虫の影響により生食は推奨されていません。

別名

コクチバスには「ブロンズバック」や「ブラウンバス」「ブラウニー」などさまざまな別名があります。これらの特徴や生態から、日本国内外での取り扱いが慎重に行われた結果、現在に至っています。

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