コシダカヒメモノアラガイ

コシダカヒメモノアラガイについて

コシダカヒメモノアラガイ（腰高姫物洗貝）、学名 Lymnaea truncatula は、有肺目モノアラガイ科に属する巻貝の一種です。この種は日本では圃場整備や環境問題により個体数が減少しているとされる一方で、外来種として移入された可能性も高いと考えられています。文献によっては「コシタカモノアラガイ」とも記載されることがあり、学名に関しても多くのシノニムが存在します。具体的には Fossaria truncatula や Galba truncatula などがその一例です。

特徴

コシダカヒメモノアラガイの殻は長卵型で、通常、殻高は約5mm、殻幅はおおよそ2mm程度です。殻口は全体の約半分を占める構造を持ち、わずかに臍孔が見受けられます。また、軸唇は捩れず、殻表には成長脈が刻まれているのが特徴です。殻の色は褐色から薄茶色で半透明ですが、外見上は生時に黒色の軟体が透けて見え、泥などで汚れることで黒っぽくなることもあります。なお、この種には蓋はありません。

日本各地に分布しているものの、本種が外来種であるとの見解もあり、1940年代頃にヨーロッパから観賞用水草と一緒に導入された可能性が指摘されています。しかし、その詳細は不明です。この貝類は世界各地に類似種が多く存在し、小型であるため他の種との識別が難しいです。また、モノアラガイ科全体についての研究が進んでいないことも、在来種の可能性を考える要因になっています。

コシダカヒメモノアラガイは水田や湿地、沼などの止水域および半止水域に生息しますが、その生態についてはまだ多くが不明です。他のモノアラガイ類と同じく、藻類を主な餌とします。この種は雌雄同体で、寒天質の卵塊を水草などに産み付ける習性があります。

日本における保全状況

コシダカヒメモノアラガイの保全状況については、日本国内の県別レッドリストにおいて、長野県では絶滅危惧I類として指定されています。一方で、青森県や広島県では情報不足、岡山県では希少種として分類されています。圃場整備や水質の悪化が影響し、全国的にこの貝の個体数が減少しています。この貝は非常に微小なため、生息地を特定することが困難です。

環境省が作成した貝類レッドリストでは、2000年の改訂版では「情報不足（DD）」として掲載されたものの、2007年改訂版では絶滅危惧種から外されています。

注意点

コシダカヒメモノアラガイは、その小型ゆえに広く利用されることはありませんが、ヒメモノアラガイの仲間として吸虫の一種である肝蛭の中間宿主となるため、注意が必要です。肝蛭は人間にとって感染症のリスクを持つため、これらの貝が生息する環境においては慎重に扱う必要があります。

関連項目

• - ヒメモノアラガイ
• - サカマキガイ

参考文献

• - 日本のレッドデータ検索システム コシダカヒメモノアラガイ
• - 波部忠重・小菅貞男著『エコロン自然シリーズ 貝』1978年及び1996年改訂版 （保育社）ISBN 9784586321063

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