コソボの中世建造物群

コソボにあるユネスコ世界遺産「コソボの中世建造物群」は、セルビア正教会の4つの教会堂と修道院から構成されています。これらの建造物は、パレオロゴス朝ルネサンス様式の美しい建築様式を特徴とし、内部には中世の優れたフレスコ画が保存されていることで高く評価されています。

しかし、コソボの政情は不安定であり、それが原因で危機遺産リストにも登録されています。コソボは世界遺産条約の未締約国であるため、世界遺産センターでは、この遺産はセルビアの世界遺産として分類されています。

登録経緯

2004年、世界遺産委員会はデチャニ修道院を、登録基準(2)と(4)を満たすものとして、単独で世界遺産に登録しました。その後、2006年には、ペーチ総主教修道院、リェヴィシャの生神女教会、グラチャニツァ修道院の3つの教会建築物が追加され、登録名も「デチャニ修道院」から「コソボの中世建造物群」に変更されました。同時に、登録基準(3)も満たすと判断され、適用基準が追加されています。

登録基準

この世界遺産は、以下の登録基準を満たしています。

(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。

登録対象

世界遺産に登録されているのは、以下の4件です。

デチャニ修道院（Dečani Monastery, ID724-001）
ペーチ総主教修道院（Patriarchate of Peć Monastery, 724-002bis）
リェヴィシャの生神女教会（Church of the Virgin of Leviša, 724-003bis）
グラチャニツァ修道院（Gračanica Monastery, 724-004bis）

危機遺産登録

コソボ周辺の不安定な政情により、この遺産は常に潜在的な危機に晒されています。そのため、世界遺産委員会は2006年の拡大登録と同時に、この遺産を「危機にさらされている世界遺産」リストにも登録しました。

2007年3月には、デチャニ修道院でアルバニア系過激派による手榴弾の投擲事件が発生するなど、遺産の保全を脅かす事態も起きています。

関連項目

東欧諸国のビザンティン建築
パヴレ (セルビア総主教)

外部リンク

セルビア大使館による「コソボの中世建造物群」の紹介（日本語）
* ユネスコ世界遺産センターによる記録（pdf）

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