ペーチ総主教修道院

ペーチ総主教修道院：コソボの歴史的・文化的至宝

ペーチ総主教修道院は、コソボ共和国のペーチ（ペーヤ）近郊に位置するセルビア正教会の重要な修道院です。この修道院は、セルビア大主教およびセルビア総主教の主教座であり、霊廟としての役割も果たしてきました。

2006年6月13日には、世界遺産「デチャニ修道院」の拡大登録として、「コソボの中世建造物群」の一部として世界遺産リストに加えられました。同時に、他の物件とともに危機遺産リストにも登録されています。

歴史

ペーチ総主教修道院の正確な設立年次は不明ですが、聖サヴァの存命中にこの地がジチャ修道院の管轄地となり、その後セルビア大主教座になったと考えられています。

13世紀には、大主教アルセニイェ1世がセルビア教会の中枢をより安全な場所に移すことを決意し、聖使徒教会を建設しました。1250年頃には、その装飾が施されました。14世紀にかけて、大主教ニコディム1世が聖デメトリウス教会を、大主教ダニロ2世がホデゲトリアの生神女教会と聖ニコラオス教会をそれぞれ増築しました。これらの教会群の前には、記念碑的な拝廊と塔が建設されました。

14世紀には、聖デメトリウス教会がフレスコ画で飾られ、聖使徒教会にも修正と装飾が加えられました。13世紀から17世紀にかけて、ペーチの総主教と大主教は、この修道院内の教会に埋葬されました。

建築と芸術

ペーチ総主教修道院は、複数の教会が複合した構造を持ち、それぞれが異なる時代に建設・装飾されました。フレスコ画は、セルビア中世美術の重要な遺産であり、当時の宗教観や社会を反映しています。

修復

2006年6月から11月にかけて、修道院の修復が行われました。主な目的は、気候の影響から建造物を保護し、内装と外観を修繕することでした。この修復作業中に、聖ディミトリイェ教会の北のファサードで、セルビア王妃と貴族を描いた2つの未知のフレスコ画が発見されました。

世界遺産

ペーチ総主教修道院は、「コソボの中世建造物群」として、その歴史的、芸術的、文化的価値が認められ、ユネスコの世界遺産に登録されています。しかし、政治的な不安定さから、危機遺産リストにも登録されています。文化遺産の保護と継承が重要な課題となっています。

周辺

• - コソボの中世建造物群
• - デチャニ修道院
• - リェヴィシャの生神女教会
• - グラチャニツァ修道院

外部リンク

ペーチ修道院の公式プレゼンテーション

ペーチ総主教修道院は、コソボの歴史と文化を物語る貴重な遺産です。その保護と研究を通じて、未来世代にその価値を伝えていくことが重要です。

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