コチェリル・ラーマン・ナラヤナン

コチェリル・ラーマン・ナーラーヤナン：インドの変革を導いた大統領

コチェリル・ラーマン・ナーラーヤナン（1921年2月4日 - 2005年11月9日）は、インドの政治家であり、第10代インド共和国大統領として1997年から2002年までその任を務めました。彼は、K. R. Narayananとしても広く知られています。

生涯

ナーラーヤナンは、1921年2月4日にインド南部のケーララ州で、社会的に最も低いとされるカーストに生まれました。困難な環境の中、彼は独学で学び、大学を首席で卒業。その後、イギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに留学し、著名な政治学者ハロルド・ラスキの薫陶を受けました。

帰国後、彼は教師、新聞記者、雑誌記者などのジャーナリストとして活動。その後、外務省に入省し、外交官としてのキャリアをスタートさせました。日本、イギリス、タイ、トルコなど、世界各地の大使館で勤務し、中国大使やアメリカ大使といった要職を歴任しました。

政界へ

1984年、ナーラーヤナンはインド国民会議派から下院議員選挙に立候補し、見事当選を果たしました。彼は外務担当国務相などの要職を歴任し、政治家としての地位を確立。1992年8月には副大統領に就任し、1997年にはインド社会において最も低いとされるカースト出身者として、初めて大統領に選出されました。

大統領として

大統領在任中、ナーラーヤナンはインド独立50周年記念祭を祝いました。また、2000年には中国を訪問し、印中関係の改善に尽力するなど、国際的な舞台でも活躍しました。同年8月には、日本の森喜朗首相がナーラーヤナン大統領を表敬訪問しています。

しかし、彼の任期中には困難な出来事もありました。1999年には、ジャンムー・カシミール州ラダック地方で、パキスタンとの間でカルギル紛争が発生。また、2002年には、グジャラート州でイスラム教徒数千人が虐殺されるという、グジャラート動乱が起こりました。ナーラーヤナンは、宗教的マイノリティーの保護のためにインド軍を動かすことを望みましたが、当時の議会で多数派を形成していたインド人民党によって阻まれました。さらに、インド人民党はナーラーヤナンが大統領職を2期務めることについても拒否しました。

死去

2005年10月29日、ナーラーヤナンは急性肺炎をこじらせ、ニューデリーの陸軍病院に入院。同年11月9日、同病院で死去しました。85歳でした。

家族

妻はビルマ人のMa Trint Trint。彼女との間には、2人の娘がいます。

レガシー

コチェリル・ラーマン・ナーラーヤナンは、インド社会におけるカースト制度の壁を打ち破り、社会変革を成し遂げた人物として、その名が歴史に刻まれています。彼の功績は、インド国民の心に深く刻まれ、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

外部リンク

* 森首相、ナラヤナン・インド大統領表敬（外務省）

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