コネクレーンズ

コネクレーンズ (Konecranes Oyj)

フィンランドを本拠地とする多国籍企業、コネクレーンズは、産業分野で使用されるクレーンや様々な荷役機械を製造し、世界市場に提供しています。特に天井クレーンや港湾クレーン、そしてフォークリフトなどの荷役車両に至るまで、幅広い製品ラインナップを持ち、物流や製造業における重量物や資材の効率的な移動を支える重要な役割を担っています。同社はナスダック・ヘルシンキ市場に上場しており、その事業はグローバルに展開されています。

沿革

コネクレーンズの起源は、フィンランドの著名な機械メーカーであるコネ社の一部門に遡ります。コネ社は1930年代には既に電動式天井クレーンの製造を手掛けており、1950年代には港湾で使用される大型クレーンへと事業を拡大していました。クレーン事業は長年にわたりコネ社の重要な柱の一つでしたが、1994年2月、親会社であるコネ社がエレベーター事業への集中戦略を打ち出したことに伴い、クレーン事業の分離独立が決定されました。同年4月には、新たな専業会社としてKCIコネクレーンズが設立されました。

設立当初、KCIコネクレーンズの株式は、イギリスの投資ファンドであるIK Partnersが主な保有者でした。しかし、1996年3月には同ファンドが保有株式を売却したことにより、KCIコネクレーンズは株式市場に公開され、より広範な投資家によって所有される企業へと変貌を遂げました。

その後の事業拡大において、M&A（合併・買収）は重要な戦略となりました。1997年にはドイツの同業企業であるMAN SWF Krantechnikを、さらに2004年にはスウェーデンのSMV Liftrucks ABを買収しました。これらの買収を通じて、従来のクレーン事業に加え、フォークリフトやリーチスタッカーといった自走式の荷役車両が製品ポートフォリオに加わり、取り扱い製品の幅が大きく広がりました。企業名の変更も行われ、2006年には現在の「コネクレーンズ」となりました。

日本市場との関係も構築されました。2010年には日本の機械メーカーであるキトーと提携し、相互に出資を行う資本関係を築きましたが、この関係は2016年に解消されています。

近年では、荷役機器分野の大手であるカーゴテックとの間で、大規模な企業合併の計画が発表され、業界内外から注目を集めました。しかし、2022年3月、イギリスの規制当局がこの合併が市場競争を阻害する可能性があるとの懸念を表明し、阻止する方針を示したため、最終的に合併計画は中止される運びとなりました。

グローバルな事業展開

コネクレーンズの事業は世界各地に広がっており、売上は複数の地域に分散しています。地域別の売上構成比を見ると、ヨーロッパ・中東・アフリカを含むEMEA地域が全体の約半分（5割弱）を占め、南北アメリカ地域がそれに次ぐ約4割弱、そしてアジア太平洋地域が約1割強となっています。この比率は、同社が特定の地域に偏らず、グローバルにバランスの取れた事業展開を行っていることを示しています。

日本における活動

日本国内においては、「コネクレーンズ株式会社」として事業を展開しています。日本法人は1999年に設立され、東京（蒲田）に本社オフィスを構えています。また、顧客へのサービスを迅速に提供するため、名古屋市、大阪市、福岡市といった主要都市にサービス事務所を設置しています。これらの拠点を中心に、日本国内の産業顧客に対し、コネクレーンズの製品販売、設置、そして重要なメンテナンスやアフターサービスを提供しています。

コネクレーンズは、長年の歴史と戦略的な事業展開を通じて、世界の産業用クレーンおよび荷役機器市場において確固たる地位を築いています。

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