地上基幹放送局

地上基幹放送局

地上基幹放送局とは、電波法で定められた無線局の一種であり、地上波による放送を行うための施設です。これは、基幹放送局という区分にも含まれます。

定義

総務省の電波法施行規則第4条第1項第2号において、地上基幹放送を行うための基幹放送局と定義されています。具体的には、放送法で定義される地上基幹放送または移動受信用地上基幹放送を行う局を指します。ただし、放送試験業務を行うものは除かれます。

特定地上基幹放送局

特定地上基幹放送局は、電波法において以下のように定義されています。

電波法第6条第2項：「自己の地上基幹放送の業務に用いる無線局」
電波法施行規則第4条第1項第2号の3：「基幹放送局のうち、電波法第6条第2項に規定する特定地上基幹放送局（放送試験業務を行うものを除く）」

これは、特定地上基幹放送事業者が保有する地上基幹放送局を意味します。一方、基幹放送局提供事業者が保有する局は、特定地上基幹放送局以外の地上基幹放送局となります。放送法第20条第1項第1号では、日本放送協会（NHK）の国内放送における地上基幹放送は、特定地上基幹放送局に限ると規定されています。これは、NHKが自ら地上基幹放送局を開設し、放送を実施する必要があることを意味します。

特定基地局

電波法第27条の12では、特定基地局は「陸上に開設する移動しない無線局であって、特定の条件を満たすため、同一の者によって相当数開設される必要があり、かつ電波の公平かつ能率的な利用を確保するために円滑な開設が必要と認められるもの」と定義されています。同条第2号では、「移動受信用地上基幹放送に係る放送対象地域における当該移動受信用地上基幹放送の受信」が規定されています。これは、移動受信用地上基幹放送の基幹放送局提供事業者が、携帯電話事業者のように特定基地局の開設計画を策定し、実施する必要があることを示しています。

開設の基準

地上基幹放送局の開設基準は、以下の総務省令に基づいています。

国内放送を行う基幹放送局：第3条
国際放送を行う基幹放送局：第4条
中継国際放送を行う基幹放送局：第4条の2
内外放送を行う基幹放送局：第4条の3

概要

地上基幹放送局は、一般的に地上波放送局として知られており、従来の放送局に相当します。これには、臨時目的放送局（イベント放送局や臨時災害放送局）、コミュニティ放送局、外国語放送局、受信障害対策中継放送局が含まれます。

免許

地上基幹放送局の種別コードは、特定地上基幹放送局以外がBB、特定地上基幹放送局がBCです。免許の有効期間は原則として5年ですが、臨時目的放送局は例外です。中継国際放送以外は、初回に限り5年以内の一定の日が有効期限となります。原則として、簡易な免許手続きは適用されず、予備免許の取得と落成検査の合格が必要です。簡易な免許手続きが適用されるのは、適合表示無線設備のみを使用する受信障害対策中継放送局に限られます。

旧技術基準の無線設備

無線設備規則の改正により、旧技術基準に基づく無線設備は、条件なしでの免許が「平成29年11月30日」まで、使用が「平成34年11月30日」までとされました。旧技術基準の無線設備とは、「平成17年11月30日」までに製造された機器や、経過措置として「平成19年11月30日」までに製造された機器を指します。新規免許は2017年12月1日以降はできませんが、使用期限はコロナ禍により「当分の間」延期されています。詳細は、無線局に関する情報を参照してください。

運用

地上基幹放送局の運用は、無線局運用規則第5章に基づいて行われます。

操作

原則として、空中線電力2kWを超えるテレビジョン基幹放送局は第一級陸上無線技術士、それ以外は第二級陸上無線技術士以上の無線従事者による管理が必要です。ただし、受信障害対策中継放送局やコミュニティ放送局の一部では、第三級総合無線通信士以上または第二級陸上特殊無線技士以上の無線従事者による管理で足ります。また、特定の条件を満たす場合、無線従事者が不要となる「簡易な操作」が認められています。

検査

落成検査は、簡易な免許手続の対象となるものを除き必要です。定期検査は、一部の小規模な中継局を除き必要です。変更検査は、落成検査と同様です。定期検査の周期は、演奏所を有する局や放送系統の中心的な局が1年、それ以外が5年です。登録検査等事業者による点検結果に基づき、一部検査が省略されることもあります。

沿革

1950年（昭和25年）：電波法施行規則制定時に放送局が定義され、免許の有効期間は3年とされました。
1952年（昭和27年）：音声混合器や映像混合器の操作に無線従事者が不要となりました。
1953年（昭和28年）：最初の再免許が行われ、以後3年毎に免許が満了するようにされました。
1988年（昭和63年）：免許の有効期間が5年に延長されました。
1990年（平成2年）：音声混合器や映像混合器の操作に無線従事者を不要とする規定が告示に規定されるようになりました。
1993年（平成5年）：電波利用料制度が導入され、コミュニティ放送局の有効期限日が他の放送局と異なるようになりました。
2007年（平成19年）：一部の中継局が定期検査の対象外となりました。
2008年（平成20年）：一部の中継局が簡易な操作の対象となり、アナログ地上波テレビ放送の免許期限が定められました。
2010年（平成22年）：特定基地局の対象に移動受信用地上放送の放送局が追加されました。
2011年（平成23年）：東日本大震災に伴う特例措置により、一部地域の地上波テレビ放送の免許期限が延長され、地上基幹放送局が定義されました。また、ギャップフィラー中継局の電波利用料が定められました。
2015年（平成27年）：一部の中継局が定期検査の対象外となりました。
2016年（平成28年）：一部の中継局が簡易な操作の対象となりました。

関連項目

無線局
基幹放送局

外部リンク

* 地上基幹放送局 再免許等申請マニュアル（総務省）

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