コモエ国立公園

コモエ国立公園

コモエ国立公園は西アフリカのコートジボワールに位置し、ブナ県とフェルケセドゥグ県にまたがる広大な国立公園です。この公園は、コモエ川の流域に広がる湿地とサバンナが特徴的であり、1968年にその保護地域として指定されました。公園内には、雨林や河畔の森林、そして草地など、さまざまな生態系が存在し、多くの動植物が生息しています。

公園内では、レイヨウ、イボイノシシ、アフリカスイギュウ、アフリカゾウなどの大型哺乳類に加えて、チンパンジーやリカオンといった珍しい動物も見ることができます。さらに、アフリカチュウノガン、キンコブサイチョウ、モモグロサイチョウ、クラハシコウ、ニシアフリカコビトワニなど多彩な鳥類が生息しており、生物相の豊かさが際立っています。この豊富な動植物相は、ユネスコによって1983年に世界遺産として登録される要因となりました。さらに、コモエ国立公園は生物圏保護区としても認知されています。

公園の地域社会にとって、この公園はロビ人という先住民族の居住地でもあり、彼らの伝統的な生活と文化が息づいています。彼らはこの自然環境と深い繋がりを持ち、持続可能な方法で自然の恵みを享受しています。

しかし、コモエ国立公園はその美しい自然環境にもかかわらず、多くの課題に直面しています。元々は象牙を求める象の狩猟が盛んだったため、密猟は依然として公園の大きな問題です。世界遺産に登録された後も、この密猟は続き、特にゾウなどの大型動物の数が減少する原因となっています。

加えて、牛の過放牧や公園の管理が不十分であるため、生態系への影響も懸念されています。これらの結果、2003年には公園が危機遺産として登録される事態に至りました。しかし、各種の対策や取り組みが行われたことにより、2017年には状況が改善されたとして、危機遺産リストから除外されました。

世界遺産登録基準

コモエ国立公園は以下の世界遺産登録基準を満たしており、その普遍的価値が高く評価されています。

• - 基準(9): 陸上、淡水、沿岸及び海洋生態系と動植物群集において、進行中の重要な生態学的生物学的プロセスの顕著な見本である。
• - 基準(10): 生物多様性を保全する上で重要な自然生息地が含まれており、特に科学的または保全の観点から価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地が含まれています。

このように、コモエ国立公園はその自然の美しさと多様性だけでなく、地域社会との関係にも深い意義を持つ貴重な地域です。今後もその保全と持続可能な利用が求められることでしょう。

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