コルゲン (モンゴル帝国)

コルゲン：チンギス・カンの寵愛を受けた皇子

コルゲン（Kölgen）は、13世紀前半のモンゴル帝国において、チンギス・カンの庶子として生まれた皇族です。彼の名は、モンゴル語でХүлгэнと記され、『元史』などの漢文史料では闊列堅、果魯干、闊列堅太子、『集史』などのペルシア語史料ではكولاكان Kūlākānと記録されています。

生涯

チンギス・カンの男子は、正室ボルテから生まれたジョチ、チャガタイ、オゴデイ、トルイの4名が特に重要視されましたが、コルゲンは庶子でありながらもチンギス・カンから厚い寵愛を受けました。

『集史』によると、コルゲンはチンギス・カンの治世末期に4000の部民を与えられ、諸子への軍団分与の記述順でもジョチ、チャガタイ、オゴデイに次ぐ位置にありました。これは、嫡出の息子たちに匹敵するほどの厚遇であったと言えます。また、コルゲンの軍団には、「四狗」の一人として知られるバルラス部族のクビライ・ノヤンが所属していました。

1238年、コルゲンはモンゴルのルーシ侵攻作戦に参加し、コロムナの戦いで戦死しました。これは、ルーシ遠征におけるチンギス一族の中で唯一の戦死者でした。

子孫

コルゲンには4人の息子がおり、長男のクチャは河間王に封じられました。しかし、クチャの孫であるエブゲン大王は、ナヤンの反乱に加担したため、元軍によって討伐されるという憂き目に遭いました。

コルゲンの家系

コルゲン
河間王クチャ(Quča,忽察)
クルタイ大王(Qurudai,忽魯歹)
エブゲン大王(Ebügen,也不干)
バイ・バラク大王(Bai-baraq,八八剌)
エメゲン大王(Emegen,也滅干)

『元史』宗室世系表には、コルゲンの玄孫以降の子孫についても記載がありますが、チャガタイ裔の系図が誤って混入していることが指摘されています。

コルゲンは、チンギス・カンの庶子でありながらも、その才能と功績によって一族の中で重要な地位を占めました。彼の生涯は、モンゴル帝国の拡大と発展に貢献した人々の歴史を今に伝えています。

参考文献

杉山正明『モンゴル帝国と大元ウルス』京都大学学術出版会、2004年
Рашид ад-Дин. Сборник летописей （『集史』）/ Пер. с персидского О. И. Смирновой, редакция проф. А. А. Семëнова. — М., Л.: Издательство Академии Наук СССР, 1952. — Т. 1, кн. 2.

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