コルチ・ウスン・エブゲン

コルチ・ウスン・エブゲン（Qorči usun ebügen）は、13世紀初頭、チンギス・カンに仕えた人物です。バアリン部出身で、千人隊長（ミンガン）を務めました。彼の名は、漢文史料では「豁児赤兀孫」または「豁児赤那顔」と記され、ペルシア語史料『集史』では「(Qūrjī Nūyān)」と記録されています。

名前の「コルチ(Qorči)」は「箭筒士」、「ウスン(usun)」は「水」、「エブゲン(ebügen)」は「翁」を意味します。この名前が示すように、彼は当初、弓矢に関わる任務についていた可能性があります。

彼はチンギス・カンから司祭者としての「ベキ」に任ぜられました。「ベキ」はシャーマン的な役割を担い、宗教的な儀式や占いを司る重要な地位です。コルチ・ウスン・エブゲンがこの地位に就いたことは、彼がチンギス・カンから非常に信頼されていたことを示しています。

『元朝秘史』に記載された功臣表において、彼は4位という非常に高い地位に列せられています。これは、彼がチンギス・カンの帝国建設において、多大な貢献を果たしたことを示唆しています。具体的な事績については史料に乏しいものの、彼の名前と地位は、彼がチンギス・カンの側近として重要な役割を果たしたことを物語っています。



参考文献

志茂碩敏『モンゴル帝国史研究 正篇』東京大学出版会、2013年
村上正二訳注『モンゴル秘史 1巻』平凡社、1970年
村上正二訳注『モンゴル秘史 2巻』平凡社、1972年
村上正二訳注『モンゴル秘史 3巻』平凡社、1976年

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