コルピッツ発振回路

コルピッツ発振回路

コルピッツ発振回路は、1918年にエドウィン・ヘンリー・コルピッツによって考案されたLC発振回路の一種です。この回路は、能動素子と2つのコンデンサ、そして1つのコイル（インダクタ）を組み合わせて構成されており、その発振周波数は、2つのコンデンサの直列合成容量とコイルのインダクタンスによって決定されます。

発振の原理

発振回路が安定して発振を続けるためには、フィードバックされた信号の位相が入力信号の位相と同じである必要があり、さらに、フィードバックされる信号の大きさが入力信号の大きさよりも大きい、すなわち帰還ゲインが1以上である必要があります。コルピッツ発振回路は、この条件を満たすように設計されています。

特徴と利点

コルピッツ発振回路には、以下のような利点があります。

高周波発振に適している: ハートレー発振回路と比較して、より高い周波数での発振に適しています。これは、回路構成におけるコンデンサの配置が影響しています。
水晶振動子との組み合わせ: コイルを水晶振動子に置き換えることで、周波数精度や安定性に優れた発振回路を構成できます。この特性は、安定した基準周波数が必要な場合に非常に有用です。

利用分野

コルピッツ発振回路は、その改良版であるクラップ発振回路とともに、数MHz以上の比較的高周波帯域での発振回路として広く利用されています。特に、無線通信機器や計測器など、安定した高周波信号が必要となる分野で重要な役割を果たしています。

水晶振動子利用時の注意点

水晶振動子を用いて回路を構成する際には、水晶振動子の仕様に定められた負荷容量に、回路全体のコンデンサ容量の合計を近づける必要があります。負荷容量は通常10～20pF程度であり、回路に組み込むコンデンサの選定には注意が必要です。また、コンデンサ容量の合計には、能動素子の入力容量も含まれることを考慮する必要があります。

関連回路

コルピッツ発振回路と関連する発振回路には、以下のようなものがあります。

アームストロング発振回路
ハートレー発振回路
クラップ発振回路

これらの回路は、発振原理や構成要素において異なる特徴を持ち、用途に応じて使い分けられます。

参考文献

福田 務; 向坂 栄夫; 栗原 豊. 絵ときトランジスタ回路. オーム社. ISBN 9784274129049

この文献は、トランジスタ回路に関する知識を深める上で役立ちます。

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