コレオプター

コレオプターとは

コレオプター（Coleopter）は、ダクテッドファンを取り入れた垂直離着陸機（VTOL）の一形態で、特にその形状がバリエーションに富むのが特徴です。一般的には、後部が大きく丸い樽状になっており、その前に小型の操縦席が配置されています。コレオプターはテイルシッター形式を採用していることが多く、飛行の際の特徴的な姿勢が特徴的です。この名称は、1950年代にフランスで開発されたC450 コレオプテールに由来し、これは「甲虫」を意味する言葉「coléoptère」から来ています。

歴史的背景

コレオプターの基本概念は、第二次世界大戦中の航空機設計において初めて明確に活用されました。当時のドイツ空軍は、連続する航空基地の爆撃により圧迫され、多様な航空作戦を展開することが難しくなっていました。これに対応するため、滑走路を必要とせず、どこからでも離着陸できる垂直離着陸機の導入が提案されました。

ハインケル社は、ハインケル・ヴェスペやハインケル・レルヒェといった一連の設計の一環として、これらの要求に応えるべく検討を進めました。ヴェスペにはベンツ製の2000馬力ターボプロップエンジンが搭載される予定でしたが、実現には至りませんでした。レルヒェは、代わりに2基のダイムラー・ベンツ DB 605レシプロエンジンを搭載する計画でしたが、こちらも未完に終わりました。

戦後の発展

第二次世界大戦後、垂直離着陸機の研究はヘリコプターに重きを置いて進められました。しかし、回転翼の運用に伴う限界が次第に明らかになり、新たな解決策を模索する動きが出てきます。その中で、ジェットエンジンを使った垂直推力の使用が試みられるようになりました。スネクマ社もこの流れの一環として、Atar Volantシリーズの開発に着手しました。

さらなる改善のために、スネクマとノール・アビアシオンは環状翼を持つC.450 Coléoptèreを設計。この機体は、1959年5月6日に初飛行を果たしましたが、飛行後まもなく7月25日に墜落し、再設計には至りませんでした。当時の試験では、エンジンの角運動量に起因する深刻な操縦難易度が問題視されていました。

アメリカにおける試み

アメリカでは、ヒラー・ヘリコプター社のチャールズ・ジマーマンによってダクテッドファンを用いた複数のプラットフォームが開発されました。初期段階では幾つかの成功を収めましたが、陸軍から機体のサイズと重量を増やす要求があり、安定性に関する新たな問題が浮上しました。これに対処するためには、機体の規模と出力の増加が必要とされましたが、設計上の限界もありました。

ヒラー社は、海軍に対して完全なコレオプターの設計を提案しましたが、これはスネクマの設計に非常に似たヒラーVXT-8として実現。ジェットエンジンの代わりにプロペラを備えたものの、最終的にはUH-1などのタービン式ヘリコプターが導入され、その性能の高さによりVXT-8への関心が薄れてしまいました。このため、完成したのは実物大の模型のみでした。

技術的進展

コンベア社は、Advanced Aerial Fire Support System（AAFSS）のコンペティションにおいて、コレオプターを基にしたモデル49の提案を選挙しました。この提案は、攻撃と支援任務のための高速ヘリコプターの設計を求め、従来のヘリコプターとは異なるアプローチが取られましたが、陸軍は伝統的な設計を選ぶことにしました。結果、AH-56シャイアンとS-66がその後の開発へと進展しました。

コレオプターは、そのユニークな設計と複雑な歴史を持ったVTOL機として、航空機設計の革新に寄与してきました。その技術的挑戦は、未来の航空機設計に向けた重要な基盤となることでしょう。

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