コロナド (沿海域戦闘艦)

コロナド (USS Coronado, LCS-4)



概要


コロナド（USS Coronado, LCS-4）は、アメリカ海軍が運用していた沿海域戦闘艦（Littoral Combat Ship、LCS）の一隻です。ジェネラル・ダイナミクス社の設計によるインディペンデンス級沿海域戦闘艦の2番艦として建造されました。この艦名は、過去にもアメリカ海軍の艦艇に付けられており、コロナドという名を冠した艦としては3隻目にあたります。

沿海域戦闘艦プログラムは、沿岸海域における多様な任務に対応するため、高速かつモジュール化された多用途艦として構想されました。特にインディペンデンス級は、特徴的なトリマラン（三胴船）船型を採用しており、優れた高速性、広い飛行甲板、そしてモジュール式の装備品を収容するための広大なスペースを備えています。コロナドもまた、この設計思想に基づき、様々な試験プラットフォームとしての役割も果たしました。

艦歴


コロナドは、2012年1月14日にアメリカ海軍へと引き渡されました。その後、各種試験や調整を経て、2014年4月5日に正式に就役します。就役後、コロナドは主に太平洋艦隊に配属され、シンガポールなどを拠点としてアジア太平洋地域でのプレゼンスや共同演習に参加しました。

特徴的な試験


沿海域戦闘艦は、そのモジュール性から任務パッケージの換装による柔軟な対応能力が期待されていましたが、実際の運用においては武装強化の必要性も模索されました。コロナドは、その試験艦としての側面から、幾つかの重要なミサイル発射試験を実施しています。

  • - NSM発射試験: 2014年7月後半には、船体の一部を仮設的に改修し、飛行甲板の片隅にノルウェー製の艦対艦ミサイル、NSM（Naval Strike Missile）の発射筒を搭載する試験が行われました。これは、沿海域戦闘艦がNSMを運用できる可能性を探るための実射試験であり、成功裏に実施されました。現在、この仮設設備は撤去されています。

  • - ハープーンSSM発射試験: 2016年7月19日に行われた環太平洋合同演習（RIMPAC 2016）においては、艦首甲板にアメリカ製の艦対艦ミサイル、ハープーンSSMの2連装発射筒2基を仮設搭載し、実射試験を行いました。これらの試験は、LCSの武装強化の可能性を示唆するものとして注目を集めました。

これらの試験は、沿海域戦闘艦に当初計画されていた以上の攻撃能力を持たせるための検討の一環として行われたものです。

退役


比較的短い就役期間の後、コロナドは2022年9月14日にアメリカ海軍から退役しました。沿海域戦闘艦プログラム全体が見直しを受ける中で、初期に建造された艦艇は早期に退役する傾向が見られました。コロナドもその対象となった一隻です。

沿海域戦闘艦プログラムとインディペンデンス級


沿海域戦闘艦プログラムは、その高い目標に対して様々な課題に直面しました。特に、モジュール換装の複雑さや、初期の艦艇における技術的な問題などが指摘されています。インディペンデンス級は、同じ沿海域戦闘艦であるフリーダム級（単胴船型）とは異なる設計思想に基づき、高速性やモジュールスペースの確保に重点を置きました。コロナドは、同級の1番艦であるインディペンデンス（USS Independence, LCS-2）に続く艦として、この革新的な船型の運用経験を積み重ねる上で重要な役割を果たしました。

過去の同名艦


「コロナド」の名は、コロナド市やコロナド島に由来し、アメリカ海軍の艦艇に複数回命名されています。



コロナド (LCS-4) は、これら過去の艦艇の歴史を受け継ぎ、アメリカ海軍の一翼を担いました。

関連項目


沿海域戦闘艦（LCS）
インディペンデンス級沿海域戦闘艦
インディペンデンス（USS Independence, LCS-2）
フリーダム級沿海域戦闘艦
* コロナド（曖昧さ回避）

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