コロムビア・ライト

コロムビア・ライト（本名：鳥屋 二郎、1927年3月30日 - 2010年10月26日）は、昭和から平成にかけて活躍した日本の著名な漫才師、漫談家である。東京都港区の出身で、大倉高等商業学校を中退。落語芸術協会に所属し、社団法人あゆみの箱の常務理事も務めた。出囃子には『自由』を用いた。

芸歴

声帯模写漫談家である柳家三亀松の弟子、柳家亀次として芸能界に足を踏み入れる。1949年、青空トップとコンビ「青空トップ・ライト」を結成し、漫才師に転身。1952年にコロムビア芸能と契約するにあたり、コンビ名を「コロムビア・トップ・ライト」と改称した。

このコンビは、当時の時事問題や社会風刺を鋭く切り取った、知的な漫才スタイルで人気を確立。瞬く間に演芸界のトップランナーとなる。ラジオやテレビの出演も精力的に行い、1955年にはラジオ東京（現在のTBS）の専属となるなど、メディア露出も多かった。

その活躍は高く評価され、数々の賞を受賞している。特に1959年には、記者クラブ賞、読売新聞演芸賞、ラジオ・オリムピック賞を同時受賞。さらに1963年には文部省芸術祭奨励賞に輝くなど、実力派漫才コンビとしての地位を不動のものとした。

相方のコロムビア・トップが参議院議員に転身したことでコンビは解消されるが、ライト氏はその後も漫談家や司会者として、多方面で活動を続けた。

壮絶な闘病と啓発活動

長年の喫煙習慣が原因で、ライト氏は大きな試練に直面する。喉頭癌を患い、治療のために声帯を摘出せざるを得なくなったのである。これにより、彼は一時的に声を失うという絶望的な状況に陥った。

しかし、ライト氏は逆境に屈しなかった。彼は発声の専門家から指導を受け、食道を振動させることで声を出す「食道発声」という困難な技術の習得に挑む。血のにじむような努力の結果、見事に食道発声の技術をマスターし、再び人前で話すことができるようになった。1991年には声帯摘出により障害者三級と認定されているが、彼はこの経験を自身の活動の原動力に変えた。

声を回復させた後、ライト氏は自身の闘病経験を活かした社会貢献活動に力を入れる。癌患者や喫煙問題に関心を寄せ、同じ境遇の人々を勇気づけるため、「ガンファイターズ」といったコンビを組み、医療漫才を披露した。また、自身の体験談を交えながら、癌予防や禁煙の重要性について全国各地で精力的に講演活動を行った。その活動は、公共広告機構（現：ACジャパン）のCM出演にも繋がり、広く一般市民に禁煙や癌検診の大切さを訴えかけた。困難を乗り越え、病と闘う人々を応援し続けた彼の姿は、多くの人々に深い感動と希望を与えた。

晩年と死去

晩年も精力的に活動を続けたが、2010年10月26日、急性心不全のため安らかに死去した。享年83歳だった。

家族を巡る悲劇

ライト氏には一人息子の鳥屋多可三氏がいた。多可三氏は父親と同様、禁煙運動にも関心を持ち、活動していた時期もあったという。しかし、2018年、多可三氏は自身の長男によって刺殺されるという痛ましい事件の犠牲者となった。この家族を襲った悲劇は、多くの人々に衝撃を与えた。

主な出演・作品等

漫才師、漫談家としてのみならず、様々なメディアでその才能を発揮した。

出演番組:
青春ジャズ大学（ラジオ東京）
銀河テレビ小説 新橋烏森口青春篇（NHK総合, 1988年） - 大平社長 役

レコード:
昭和一けた／ゴルフ・ブギ（1975年10月）
ザ・タイトルマッチ／夜逃げするならいまのうち
名もない花の詩／悲しきギャンブラー

主な受賞歴:
1959年：記者クラブ賞、読売新聞演芸賞、ラジオ・オリムピック賞
1963年：文部省芸術祭奨励賞

関連項目

日本コロムビア

外部リンク

あゆみの箱：会員の紹介＞コロムビア・ライト
コロムビア・ライト - 落語芸術協会

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