コロンバス・ブルージャケッツ

コロンバス・ブルージャケッツ（Columbus Blue Jackets）は、アメリカ合衆国オハイオ州コロンバスを拠点に活動するプロアイスホッケーチームであり、北米の最高峰リーグであるナショナルホッケーリーグ（NHL）に所属しています。チームはイースタンカンファレンス、メトロポリタンディビジョンの一員として戦っていますが、創設以来、他の強豪チームに比べて厳しい戦いを強いられてきた歴史を持っています。

チームの歩みと成績

ブルージャケッツは2000年にミネソタ・ワイルドと共にNHLに新規参入しました。最初の公式戦は2000年 10月7日に行われたシカゴ・ブラックホークス戦でしたが、3対5で敗北を喫しました。チーム史上初の得点を記録したのは、ブルース・ガーディナー選手でした。

創設以来、チームはプレイオフ進出すら難しい時期が長く続きました。メトロポリタンディビジョンに所属する8チームの中で、ブルージャケッツは唯一スタンレーカップを掲げた経験がありません。さらに、イースタンカンファレンス全体の16チームを見渡しても、カンファレンスチャンピオンシップ、すなわちカンファレンス決勝シリーズに進出したことのあるチームは、ブルージャケッツを除いてすべて存在します。レギュラーシーズンにおける勝ち点100以上を達成したのも過去に一度きりであり、地区優勝や地区2位といった成績を収めた経験もありません。

初のプレーオフ進出は、創設から9シーズン目となる2008-2009シーズンにようやく達成されましたが、残念ながら1回戦で敗退となりました。その後もプレーオフの壁に阻まれましたが、2018-19シーズンには大きなブレークスルーを果たしました。プレーオフ1回戦で当時圧倒的な強さを誇っていたタンパベイ・ライトニングを相手に、シリーズ4連勝（スィープ）という歴史的な勝利を収め、初の1回戦突破を達成しました。しかし、続く2回戦ではボストン・ブルーインズに2勝4敗で屈し、カンファレンス決勝進出は叶いませんでした。

近年のチームは再び低迷期に入っています。NHLにおいて、コロンバスはフリーエージェントの選手にとってあまり魅力的な移籍先ではないという一般的な見方がある中で、2022-23シーズン開幕前にはカルガリー・フレームスからフリーエージェントとなったスター選手、ジョニー・ゴードローとの7年契約締結に成功し、チームの飛躍が期待されました。しかし、その期待に応えることはできず、2022-23シーズンは勝ち点59（25勝48敗9延長戦負け）でディビジョンおよびカンファレンスの両方で最下位に沈みました。翌2023-24シーズンも状況は好転せず、かつてスタンレーカップ優勝に導いた実績を持つマイク・バブコック氏をヘッドコーチに招聘するも、過去のパワハラ問題が表面化して開幕前に辞任するという混乱に見舞われました。後任のパスカル・ヴィンセント氏体制下でもチームは波に乗れず、シーズンを通じて最長で2連勝しか記録できないまま、勝ち点66（27勝43敗12延長戦負け）で2年連続のディビジョン・カンファレンス最下位という結果に終わりました。

さらに、2024-25シーズン開幕前には、チームの顔であったジョニー・ゴードロー選手が、弟と共に飲酒運転の自動車に轢かれるという悲劇的な事故により命を落としました。本拠地であるネイションワイド・アリーナでは、ファンによる追悼式が行われるなど、チームとファンは深い悲しみに包まれました。

チーム名の由来

チーム名である「コロンバス・ブルージャケッツ」は、ファン投票によって決定されました。この名前が選ばれた背景には、いくつかの説が存在します。

一つは、当時のオーナーであったジョン・H・マコネル氏の好みの色がブルーであり、彼が「選ばれる名前には『ブルー』を含めるべきだ」と指示したとマスコミで報じられたことです。また、当初試作されたチームロゴには虫のようなデザインがあり、これは蜂や他のスポーツチームのニックネームから「イエロージャケット」を連想させるものでした。この虫のロゴはその後使用されなくなり、現在ではチームマスコットの「スティンガー」にわずかにその名残が留まるのみとなっています。

さらに、コロンバス地域に縁のある歴史上の人物、ショーニー族の酋長であるブルー・ジャケット（Blue Jacket）の名誉を称える意味合いも指摘されています。ただし、チームは商業活動において、ネイティブ・アメリカンに関連する象徴を一切使用していません。

もう一つの由来として挙げられているのが、南北戦争において北軍兵士が着用していた軍服、すなわち「ブルー・ジャケット（青い上着）」です。チームは商業的な場面で、この南北戦争時の軍服モチーフを部分的に使用しています。

悲劇的な事故とその影響

2002年3月16日、ブルージャケッツの試合中に、NHLの歴史上初めてとなる痛ましい事故が発生しました。コロンバス対カルガリーの試合中、ブルージャケッツのエスペン・クヌートセン選手が放ったショットが、相手ディフェンスマンのデレック・モリス選手のスティックに当たって不規則な方向に飛び出し、観客席で観戦していた13歳の少女、ブリタニー・セシルさんの頭部を直撃しました。ブリタニーさんは病院に搬送されましたが、2日後の3月18日、頭蓋骨骨折が原因で亡くなりました。

この悲劇的な事故は、NHL全体に大きな衝撃を与えました。パックが観客席に飛び込む危険性に対する認識を高める契機となり、再発防止策として、NHLに所属する全てのアリーナにおいて、ゴールの背後に位置する観客席の前面に、飛来するパックから観客を保護するためのナイロン製のネットが設置されることになりました。この事故は、スポーツ観戦における安全対策の重要性を改めて浮き彫りにし、リーグ全体の安全基準の向上に繋がる出来事となりました。

総じて、コロンバス・ブルージャケッツは、創設から現在に至るまで、成績面では苦難の道を歩んできました。しかし、チーム名の多様な由来や、NHL全体の安全基準に影響を与えた悲劇的な事故など、その歴史は単なる成績以上の、様々な側面を含んでいます。ファンはチームの低迷期を支えつつ、将来の躍進を願っています。

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