コンスタンチン・ロジャエフスキー

コンスタンチン・ロジャエフスキー：白系ロシアのファシスト指導者とその悲劇的な最期

1907年、ロシア帝国ブラゴヴェシチェンスクに生まれたコンスタンチン・ウラジーミロヴィチ・ロジャエフスキーは、白系ロシア人のファシスト指導者として知られています。ソ連革命後、家族とともに満州に亡命し、そこで反共主義運動の中心人物として活躍する一方、悲劇的な最期を遂げることになります。彼の生涯は、20世紀における政治的混乱とイデオロギー対立を鮮やかに反映しています。

ソ連からの脱出と満州での活動

ロジャエフスキーは、コムソモールの一員として活動した後、1925年にソ連を脱出しました。アムール川を渡り、満州ハルビンにたどり着き、その後、ハルビン中露工業学校で法学を学びました。在学中は反共主義、民族主義的な思想に傾倒し、ロシアファシスト組織に参加します。大学での反ソ連活動により一時退学となりましたが、のちに復学し卒業しています。

1931年、ロジャエフスキーはロシアファシスト党の結成に参加し、事務局長に就任します。その後、党首にまで上り詰め、党の組織強化と反共運動の拡大に尽力しました。ムッソリーニのファシズムを理想とし、党旗にはナチスの鉤十字を、党章にはロシア帝国の双頭の鷲を使用するなど、独特のイデオロギーと象徴体系を構築していました。

ロシアファシスト党は、関東軍の庇護を受け、ハルビンを拠点に反共運動を展開しました。党員数は1万2000人に達し、満州里に鉤十字のネオンライトを設置するなど、ソ連への挑発的な行動も行っていました。世界各国にも支部を設立するなど、その勢力は拡大していきました。ロジャエフスキーは関東軍の協力の下、反ソ連工作や撹乱工作の訓練を受けていたとされています。

第二次世界大戦とソ連への自首

第二次世界大戦が勃発すると、ロジャエフスキーは反ソ連運動を本格化させました。しかし、1943年には二重スパイ容疑で日本軍憲兵隊に逮捕されます。尋問の結果無実が証明され釈放されますが、その後、関東軍はロシアファシスト党の活動を制限し、事実上の解散に追い込みました。

1945年8月、ソ連軍の進攻により満州の戦況が悪化すると、ロジャエフスキーは上海に脱出しました。敗戦が迫る中、ソ連への帰国を認めてもらうため、NKVD（ソ連内務人民委員部）と交渉を開始します。スターリンとマリノフスキー宛てに自己批判の手紙を送ったと伝えられていますが、彼の妻と息子は後にその事実を否定しています。

その後、ロジャエフスキーはソ連大使館に自首しました。しかし、ソ連は約束を反故にし、ロジャエフスキーを逮捕してモスクワに連行しました。

死刑判決とその後

1946年、ロジャエフスキーは反ソ連活動やナチス・ドイツからの資金提供などの罪で裁判にかけられ、死刑判決を受けました。同日、ルビャンカで銃殺刑が執行されました。

ロジャエフスキーの生涯は、白系ロシア人の苦難と、複雑な国際情勢の中で揺れ動いた彼の選択を浮き彫りにしています。彼の活動は、ロシアにおけるファシズムと反共主義の歴史研究において重要な存在として位置付けられています。2001年には、彼の著作『ロシアファシストの最後の意志』が出版され、改めて彼の思想や行動への関心が集まっています。彼の残した記録は、今も歴史研究者にとって貴重な資料となっています。

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