コンスタンティヌス (ローマ教皇)

コンスタンティヌスは、7世紀後半から8世紀初頭にかけての激動期に、ローマ教皇としてその役割を担いました。彼の生涯と教皇としての活動は、当時の政治的、宗教的な複雑な情勢を反映しています。

生涯

コンスタンティヌスは、664年にシリアで生まれました。教皇に選出される前は副助祭を務めていました。先代教皇シシニウスが急逝したことを受け、708年3月25日に第88代ローマ教皇に選ばれました。

教皇としての活動

教皇就任後、コンスタンティヌスは東ローマ帝国との関係修復に尽力しました。特に、先代教皇セルギウス1世の時代に中断されていた、東ローマ皇帝ユスティニアノス2世との教会会議（第3コンスタンティノポリス公会議）の条約交渉を再開しました。ユスティニアノス2世は、皇帝による全教会支配を教皇に認めさせようとしていましたが、695年に反乱で退位させられていました。その後、705年に復位を果たしたユスティニアノス2世は、再び教皇との交渉を進めようとしました。

711年、コンスタンティヌス教皇はニコメディアでユスティニアノス2世と会見しました。この会見で、教皇は皇帝の要求を拒否し、代わりに教皇が皇帝に聖体を拝領するという形で和解を図りました。当時、東ローマ帝国はユスティニアノス2世による内部粛清が相次ぎ、不安定な状況にあり、皇帝も教会問題に注力できる状況ではなかったと考えられています。

しかし、この和解の直後、ユスティニアノス2世はかつて自身が流刑に処されたケルソンに軍隊を送って報復しようとしました。これに対し、ケルソンの住民が反乱を起こし、さらに軍隊も反乱に加わったため、ユスティニアノス2世は処刑されました。これにより、東ローマ帝国は新たな皇帝フィリピコス・バルダネスを迎えることになりました。フィリピコス・バルダネスは異端の単位論を提唱し、教皇コンスタンティヌスと対立しました。この反乱の余波はローマにも及び、教皇はローマで起こった反乱の鎮圧に奔走することとなりました。

その後、713年にフィリピコス・バルダネスが失脚し、新たにアナスタシオス2世が皇帝に即位しました。アナスタシオス2世はユスティニアノス2世と同様に教皇との和解を望み、正統派の教義を承認しました。これにより、東ローマ帝国との関係は再び親密なものとなりました。コンスタンティヌス教皇は、混乱の時代にあって、教会の独立を保ちながら、帝国との関係を安定させることに成功しました。

死去

コンスタンティヌス教皇は、715年4月9日に在位7年15日で死去しました。彼の教皇としての活動は、東ローマ帝国との複雑な関係の中で、教会の権威を維持し、信仰を守り抜いたものとして評価されています。

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