コンパイル (企業)

株式会社コンパイルの歴史

株式会社コンパイル（英: COMPILE Corporation）は、日本のゲームソフト開発会社として1982年に設立されました。創業者である仁井谷正充は、もともとは広島電鉄の社員でしたが、自身のゲーム制作に対する情熱から、コンピュータゲームの制作会社を立ち上げました。

設立と初期の活動

コンパイルの設立当初は、広島県広島市に本社を構えていました。最初はセガの下請けとしての活動を行い、1983年にはゲーム『BEE&FLOWER』を開発しました。この作品では、「真紅ソフト」というブランド名を用いていましたが、その後はこの名称は使われなくなりました。

会社名の「COMPILE」は、コンピュータ用語の「COMPILER」に由来し、将来的にはビジュアルや音楽、出版などさまざまな分野で制作活動を行いたいという願いを込めて名付けられました。1980年代半ばには、シューティングゲーム『ザナック』や『アレスタ』で知られるようになり、1988年にはMSX向けディスクマガジン『ディスクステーション』をスタートしました。この雑誌は、その後13年間にわたりリリースされ続け、多くのファンを魅了しました。

『ぷよぷよ』による成功

1990年代に入ると、落ち物パズルゲームが流行し、1992年にアーケード版『ぷよぷよ』を発表しました。このゲームは瞬く間にヒットを記録し、メガドライブやスーパーファミコンに移植されるなど、家庭用ゲーム機でも人気を博しました。特に、ぷよぷよシリーズはその後の展開も含めて多くのファンを獲得しました。

コンパイルはこの成功を受けて、関連商品やイベントを展開し、ユーザーとの繋がりを強化していきました。特に「全日本ぷよマスターズ」というイベントでは、18,000人を集めるなど、大規模な企画も実施しながら、ゲームの人気を支えていきました。

経営悪化と破綻

しかし、急な事業拡大路線が原因で経営は悪化の一途を辿りました。仁井谷は、ディスクの時代を見据えた発言をしていましたが、新規プロジェクトが次々と失敗したことが響き、資金繰りが困難になりました。1998年には、セガへ相談し、『ぷよぷよ』の権利を担保に融資を受けることに決定。この決断が転機となり、最終的には和議申請を行い経営破綻に至ります。

その後も会社再建を試みましたが、仁井谷の無謀な経営や、社内問題が次々と浮き彫りになり、結局新たなヒット作を生み出すことができないまま、2002年に会社は解散。最終的には2004年に法人格も消滅し、株式会社コンパイルはその歴史の幕を下ろしました。

関連企業

経営破綻後、その知的財産権はセガが引き継ぎ、今でも『ぷよぷよ』シリーズは多くの人に愛されています。また、コンパイルの元社員が設立した企業や、系列のゲーム開発会社も多く、彼らが新たな作品を生み出す土台となっています。

コンパイルは、その独自の世界観とゲーム性、また、ユーザーとの密接な関係を築くことで、ゲーム業界に多大な影響を与えました。かつての栄光の陰にある経営の苦闘は、現代のゲーム開発者にとって、多くの教訓を提供しています。

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