コーネリアス・ファン・エーステレン

コーネリアス・ファン・エーステレン（Cornelius van Eesteren, 1897年7月4日 - 1988年2月21日）は、オランダを代表する都市計画家であり、建築家としても活躍しました。特に、アムステルダム市の都市計画責任者として長年にわたり都市の発展に貢献した人物として知られています。

生涯と業績

1897年、オランダに生まれたファン・エーステレンは、ロッテルダムの芸術アカデミーで視覚芸術と応用科学を学びました。学生時代には、ヘンドリク・ペトルス・ベルラーヘやドイツ表現主義の影響を受け、建築への関心を深めていきます。

1919年からは建築実務に従事し、建築家としての経験を積みました。ロッテルダムやアムステルダムで住宅作品を手がけ、1921年にはテオ・ファン・ドゥースブルフの元で建築実務に従事する傍ら、グループ「デ・スティル」に参加。この運動は、1923年以降、パリなどを中心に世界的な広がりを見せました。

ファン・エーステレンは、早くから都市計画に専念することを決意し、ヨーロッパ各地を視察旅行しました。その中で、各都市の状況を分析し、都市計画に対する理解を深めていきます。

1929年、アムステルダム市に新設された公共事業局都市開発部の初代主任に就任。これは、市内に都市計画を担う部署が初めて正式に組織されたことを意味しました。彼は、1931年から都市拡張計画を策定中のアムステルダム市都市計画局で、アムステルダムの都市計画業務に本格的に携わることになります。

彼が率いる都市開発部は、1934年にアムステルダム総合[都市計画]を作成し、翌年には拡張計画を策定しました。ファン・エーステレンは、都市の成長を予測し、地域ゾーニングや交通網といった都市の構造の大枠を決定する「構造計画」と呼ばれる計画手法を確立しました。この構造計画は、現在のオランダ国土空間計画の基礎となっています。

都市計画における機能主義

ファン・エーステレンは、都市を構成する要素（工場、住宅地、交通網、スポーツ施設など）を分析抽出し、それらの集合した構造体として都市を捉えました。彼は、美しさだけでなく、調査や統計に基づいた科学的な都市計画を実践し、都市を機能させるための最適な構成要素の配置を追求しました。

彼はアムステルダムの都市計画において、機能主義を全面的に採用し、住宅、職場、レクリエーション、交通の機能分離の考え方を反映させました。このアプローチは、現代の都市計画にも大きな影響を与えています。

国際的な活動と影響

ファン・エーステレンは、近代国際建築会議CIAMにも参加し、1930年には会長に選出されました。1947年までCIAM議長を務め、アムステルダムでの経験をもとに、1933年の大会でアテネ憲章を採択するなど、国際的な都市計画の発展にも貢献しました。

ファン・エーステレンの業績は、都市計画の分野において非常に重要なものであり、現代のオランダの都市計画や国土計画に大きな影響を与えています。彼は、単に都市を建設するだけでなく、人々の生活や都市の機能を最適化するための都市計画を追求した先駆者として、その名を歴史に刻んでいます。

参考文献
Louis Mumford,The Culture of cities,The City in History
P.Chombert de Lauwe,Famille et Habitation,2 vols

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