応用科学

応用科学とは

応用科学（Applied Science）は、科学的な方法論と知識を、現実世界での具体的な目標達成のために活用する学問分野です。これは、自然現象の解明や理論の発展を目的とする基礎科学とは異なり、工学、医学、農学など、広範な分野にまたがっています。応用科学は、単に知識を追求するだけでなく、その知識を実社会で役立てることに重点を置いています。

応用科学の多様性

応用科学は、自然科学だけでなく、形式科学や社会科学にも存在します。例えば、統計学や確率論は遺伝疫学に応用され、心理学は犯罪学などの分野で応用されています。このように、応用科学はさまざまな分野の知見を組み合わせて、より実践的な解決策を生み出そうとする学問です。

応用科学と研究開発

OECD（経済協力開発機構）は、研究開発を基礎研究、応用研究、試験的開発の3つに分類しています。その中で、応用研究は「特定の目的や目標に向けて、新たな知識を得るために行う一次的な研究」と定義されています。しかし、この定義は主観的であり、実際の研究では基礎研究と応用研究の両方の要素が含まれることも多く、研究の進展によってその重点は変化すると指摘されています。

応用科学と総合科学

応用科学は、総合科学としばしば同一視されます。しかし、総合科学は基礎科学の学問分野も含むため、厳密には異なる概念です。一般的に、応用科学は基礎科学との役割分担が明確化されています。

応用科学は、基礎科学の成果を実用的な形に変えることを目指すため、「実用学」や「実学」と呼ばれることもあります。

応用科学の一覧

応用科学は多岐にわたりますが、以下に主な学問分野と関連する基礎科学、日本の大学で対応する学部を示します。

医学・歯学（生物学、化学、物理学）：医学部、歯学部
薬学（化学、生物学）：薬学部
農学、森林科学、林学、畜産学、水産学、獣医学（物理学、化学、地球科学、生物学）：農学部、水産学部、獣医学部
工学・理工学・理学（物理学、化学、地球科学、生物学）：工学部、理工学部、理学部
システム科学、情報学、計算機工学、計算機科学（物理学、化学、地球科学、生物学）：情報学部、情報工学部、情報科学部

応用理学について

「応用理学」という用語は、応用物理学、応用化学、応用数学など、理学をより工学に近い研究対象として扱う自然科学群を指します。科学技術研究調査では、「応用理学」は自然科学部門の「工学」に分類されています。

一部の大学では、応用理学科や応用理学専攻が設置されていましたが、改組により名称が変更されたり、コースとして再編されたりしています。また、多くの大学で応用理学講座や応用理学教室が設けられていました。

技術士の専門部門には「応用理学部門」があり、「物理及び化学」、「地球物理及び地球化学」、「地質」の3つの選択科目が設けられています。

関連項目

学問
学際
基礎科学
人文科学
社会科学
自然科学
総合科学

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