コーネリアス・ヴァンダービルト3世

コーネリアス・ヴァンダービルト3世の生涯

コーネリアス・ヴァンダービルト3世（1873年9月5日 - 1942年3月1日）は、アメリカの歴史に名を刻むヴァンダービルト家の相続人であり、同時に陸軍軍人、発明家、技術者として多岐にわたる才能を発揮した人物です。鉄道王コーネリアス・ヴァンダービルト（1世）の曾孫にあたり、「ネイリー」の愛称で親しまれました。

生い立ちと教育

ニューヨーク・セントラル鉄道の社主であるコーネリアス・ヴァンダービルト2世とアリス・クレイプール・グウィンの次男として誕生。幼少期は家庭教師による教育を受け、その後、名門私立校セント・ポールズ・スクールを経てイェール大学に進学しました。1895年に人文学の学位を取得した後も大学に残り、1899年には哲学の学位を取得。さらに、父祖譲りの機械技術への関心から、機械工学の学位も修得しました。このように、人文科学から工学まで幅広い分野に精通していたことが、彼の多才さを物語っています。

相続と家族との確執

1892年に兄が夭折したことで、ヴァンダービルト家の後継者と目されるようになりました。しかし、1896年に父の反対を押し切って銀行家の娘グレース・グレアム・ウィルソンと結婚したため、家族との関係が悪化し、事実上の廃嫡状態となりました。1899年に父が亡くなった際、遺産の大部分は弟のアルフレッド・グウィン・ヴァンダービルトに相続され、ネイリーが受け取ったのはごく一部でした。その後、弟アルフレッドの尽力により、ネイリーは遺産の一部を確保することができ、1926年には母アリスと和解を果たしました。妻グレースとは生涯連れ添い、二人の間には1男1女が生まれました。

技術者、発明家としての功績

ネイリーは技術者、発明家としても傑出した才能を発揮しました。生涯に30以上もの特許を取得し、その内容は機関車や貨物運搬車の技術的改善に関するものが中心です。特に、燃料効率を大幅に向上させる機関車の波状形火室や、シリンダー型貨物運搬車、革新的な形状の機関車などは、彼の技術的な才能を象徴するものです。さらに、ニューヨークの地下鉄網の構築にも尽力し、オーガスト・ベルモント・ジュニアと共同で、ニューヨーク初の地下鉄運営会社となるインターボロー・ラピッド・トランジットを設立しました。

軍人としてのキャリア

1901年にニューヨーク州軍の少尉に任官し、その後1934年まで軍隊に所属しました。メキシコ国境での戦闘や第一次世界大戦にも従軍し、第102工兵大隊の指揮官として海外で活躍しました。最終的には准将にまで昇進し、第25歩兵旅団の旅団長を務めました。その功績から、合衆国政府、ニューヨーク州政府、ベルギー政府から数々の勲章を授与され、フランス政府からはレジョンドヌール勲章の上級勲章を授与されました。

晩年と死

第一次世界大戦後、ネイリーはヨーロッパを何度も旅行し、各国の王族たちと親交を深めました。ヨットを趣味とし、1903年には所有するヨット「リライアンス号」がアメリカスカップで優勝、1910年にはニューヨーク・ヨットクラブ主催のキングズカップでも優勝しました。

1942年、休暇で訪れたマイアミビーチでヨットに乗船中に脳内出血で急逝しました。彼の遺体は、一族の墓所であるスタテン島のモラヴィア共同墓地に埋葬されました。

まとめ

コーネリアス・ヴァンダービルト3世は、富裕な家庭に生まれたにも関わらず、自らの才能を開花させ、多岐にわたる分野で活躍した人物です。技術者、発明家としての才能は、鉄道技術の発展に貢献し、軍人としてのキャリアは、彼のリーダーシップと勇気を示しています。また、社交界でも多くの著名人と交流し、その生涯はまさに波乱万丈であったと言えるでしょう。

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