コーラオ族

コーラオ族：中国南西部の少数民族

コーラオ族は、中華人民共和国南西部に居住する少数民族です。貴州省を中心に、広西チワン族自治区や雲南省にも居住地が広がっています。古くから中国の漢民族などとの混住状態にあったため、独自の文化は徐々に変化しており、現在ではその文化の維持が課題となっています。

コーラオ族の居住地と自治体

コーラオ族の主要な居住地は貴州省に集中しており、遵義市、安順市、黔西南プイ族ミャオ族自治州、畢節市、六盤水市などに点在しています。また、広西チワン族自治区の隆林各族自治県や雲南省文山チワン族ミャオ族自治州にも居住しています。

行政区分としては、道真コーラオ族ミャオ族自治県や務川コーラオ族ミャオ族自治県などの自治県、そして複数の民族郷が存在します。これらの地域では、コーラオ族が他の少数民族とともに生活しています。

コーラオ族の歴史

歴史的な記録によると、コーラオ族は商・周時代から西漢時代にかけては「百濮」、東漢から南北朝時代には「濮」「僚」と呼ばれていました。隋唐時代以降は「葛僚」「仡佬」などと呼ばれ、名称は時代によって変化してきました。長い歴史の中で、周辺の民族との交流を通して、コーラオ族の文化も変化を遂げてきました。

コーラオ族の言語

コーラオ族には独自の言語がありますが、文字を持たないため、口承文化が中心でした。コーラオ語は、タイ・カダイ語族のKra諸語に分類される複数の言語と、モン・クメール語族の言語を含む、多様な言語群から構成されています。しかしながら、これらの言語は多くの話者が中国語などを用いるようになり、話者が減少傾向にあり、絶滅の危機に瀕している言語も多く存在します。現在、コーラオ語を母語とする話者は千人規模と推定されています。

コーラオ族の伝統文化

長きにわたる漢民族などとの混住により、コーラオ族の伝統文化は、かつてほど顕著ではなくなっています。住居様式や衣服などは、漢民族のそれと共通点が多く見られます。

しかしながら、独自の伝統行事も残っています。特に重要なのは旧暦の3月3日に行われる「喂樹」という行事です。これは古樹崇拝に由来する、コーラオ族特有の行事です。また、コーラオ族は、旧正月ともう一つ独自の正月を祝うという、独特の暦法も残っています。

コーラオ族の著名人

コーラオ族からは、教育者である馮輔元や、中国の最長寿者として知られる龔来発など、著名な人物も輩出しています。

コーラオ族の現状

現代のコーラオ族は、中国社会に統合されつつあります。しかし、独自の言語や文化の維持は大きな課題となっています。中国政府による少数民族保護政策のもと、コーラオ族の文化の保護と継承に向けた取り組みが進められていますが、言語の衰退や伝統文化の消失という困難に直面しています。 今後、コーラオ族の文化がどのように保存・発展していくのか、注目していく必要があります。

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