ゴルフ型潜水艦

ゴルフ型潜水艦とは

ゴルフ型潜水艦（Golf class submarine）は、ソビエトおよびロシア海軍によって運用された弾道ミサイル潜水艦で、その正式な計画名は629型潜水艦（Подводные лодки проекта 629）です。この艦級は、NATOによって命名されたコードネームの「ゴルフ」に由来しています。ゴルフ型潜水艦には、1型から5型までの異なるサブタイプが存在しますが、いずれも潜水艦巡洋艦の一種として分類されます。

概要

ゴルフ型潜水艦は、艦橋後部に潜水艦発射弾道ミサイルを格納する設計が施されています。このため、初期の1型では搭載することができる弾道ミサイルの数は3発、2型は6発、そして3型は4発というように限られています。また、原子力推進は採用されていないため、長期間にわたる潜航ができないのも大きな特徴です。特に、前期型に搭載されていたR-11FMやR-13ミサイルは発射の際には必ず浮上が必要であり、これも運用上の制約となっています。ただし、後期型では水中から発射可能なR-21ミサイルに換装され、これによって運用の柔軟性が増しました。

この潜水艦は1958年から配備が始まり、1962年にかけて計23隻が就役しました。その中の1隻であるK-129は、1968年に北太平洋で不明な原因で沈没しており、問題の解明のためにアメリカ中央情報局が1974年に水深約5,000メートル地点からパーツ回収を行うプロジェクト・ジェニファーを実施しました。

退役と影響

ゴルフ型潜水艦は1990年までに全てが退役しましたが、ソビエト連邦崩壊後の1993年には、10隻が北朝鮮に解体用として売却されました。これらの艦艇は北朝鮮によって運用されたことはないものの、その設計やミサイル発射システムから得られる技術的な知見はあったと考えられています。

また、1959年には中国人民解放軍海軍に対して4隻、もしくはその部品と設計図が提供され、これにより1966年に「031型通常動力弾道ミサイル潜水艦」が建造されました。この艦は後に水中発射能力を持つように改良され、今なお「長城200号」として使用され続けている可能性があります。これにより中国は弾道ミサイルおよび潜水艦運用に関するノウハウを得たと見られています。

後継艦と現状

ゴルフ型の後継艦は、原子力推進技術を採用することによって活躍の場を広げており、防衛力向上に寄与しています。また、朝鮮人民軍海軍の弾道ミサイル潜水艦の開発が本級をモデルにしているとの報道もありますが、その性能に関しては詳細が不明です。

仕様

• - 水上排水量: 2794トン（629型）、2300〜2820トン（629A型）
• - 水中排水量: 3553トン（629型）、2700〜3553トン（629A型）
• - 全長: 98.4メートル（629型）、98.9メートル（629A型）
• - 全幅: 8.2メートル
• - 喫水: 7.85メートル（629型）、8.5メートル（629A型）
• - 最大速度: 15ノット（水上）、12.5ノット（水中）
• - 航続距離: 70日
• - 乗員数: 80名
• - 潜航可能深度: 300メートル
• - 兵装: 533mm魚雷発射管×6、弾道ミサイル

このようにゴルフ型潜水艦は、冷戦時代の海軍力の一翼を担った艦艇であり、その影響は今日においてもなお感じられる部分が多くあります。

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