サイェレット・マトカル

サイェレット・マトカルの概要

サイェレット・マトカル（Sayeret Matkal）は、イスラエル国防軍（IDF）の特殊部隊として知られています。この部隊は、第269部隊としても称され、実質的には参謀総長の直属部隊として機能しています。創設当初はイギリス陸軍の特殊空挺部隊（SAS）をモデルにしており、そのモットーでもある「Who Dares Wins」を踏襲しています。

歴史とミッションの進化

サイェレット・マトカルの初期の任務は特別な偵察活動と監視でしたが、時が経つにつれて対テロ作戦や直接行動（Direct Action）への活動範囲が拡大されました。特に1972年のサベナ航空572便ハイジャック事件では、人質救出ミッションが成功し、近接戦闘に必要な銃の訓練が不足していたにもかかわらず、急遽招集されたOBが突入の先頭に立てたことが際立っています。この作戦は、テロに対して譲歩せず立ち向かう革新性を持ち、部隊の名声を高めるきっかけとなりました。

その後1976年のエンテベ空港奇襲作戦では、イスラエル国防軍の空挺旅団やゴラニ旅団と共同で、人質を無事に救出することに成功しました。この作戦もまた、世界中から高い評価を受けることとなりました。一方で、すべての行動が成功したわけではありません。1974年のマーロット村事件では、サイェレット・マトカルは不幸な結果に直面し、28名の人質と1名の隊員が命を落とすという悲劇的な事態となりました。

隊員候補とその人材

サイェレット・マトカルの隊員は、IDF内の厳選された士兵、予備役、徴集兵の中から選出されます。この小規模な部隊には、イスラエルの政治や軍事に大きな影響を与えた著名な人物が数多く在籍してきました。元隊員の中には、エフード・バラック元首相や、ベンヤミン・ネタニヤフ元首相、ナフタリ・ベネット元首相などがいます。また、サイェレット・マトカルは、イスラエル空軍の特殊部隊であるシャルダグの創設の母体ともなり、多くの国外の対テロ部隊の設立を支援してきました。

国際的な影響

サイェレット・マトカルは、自身の成功を受けて国外の特殊部隊の訓練や支援も行っており、たとえば西ドイツのGSG-9やオーストリアのGEKコブラの設立に寄与しています。このような国際的な交流は、イスラエルの特殊部隊の訓練技術や戦術が世界的に評価されていることの証と言えるでしょう。

まとめ

サイェレット・マトカルは、その歴史を通じて多くの困難に立ち向かい、数々の成功と失敗を経験してきました。彼らの活動が、日本を含めて国際的に注目されているのは、その能力と勇気、そして革新性に起因しています。今後もこの部隊がどのように進化し続けるのか、その動向に世界は目を向けています。

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