サイード・ビン・タイムール

サイード・ビン・タイムールについて

サイード・ビン・タイムール（1910年 - 1972年）は、オマーンの歴史において非常に重要な役割を果たした第13代スルターンです。彼は1932年に即位し、1970年に息子のカーブースによって廃位されるまで、約40年間にわたりオマーンの政治を担いました。彼の教育背景や政治経歴、また統治のスタイルは、オマーンの近代史に大きな影響を与えました。

教育背景

サイードは1910年にオマーンのマスカットで生まれました。11歳から17歳まで、イギリス領インドのアジュメールにあるメイヨー・カレッジで学び、英語とウルドゥー語を習得しました。帰国後、さらなる教育を求めてベイルート行きが検討されましたが、父であるスルターン・タイムールは、息子がキリスト教に感化されることを恐れ、バグダッドでアラビア文学と歴史を学ばせることを選びました。

初期の政治経歴と即位

サイードは帰国後、オマーン政府に参加し、1929年には閣僚評議会の代表となります。彼の父は統治に消極的で、時折インドに滞在することから、国情は不安定でした。サイードは1931年に父の後継者として指名され、1932年にはスルターンとして即位します。即位当初、オマーンはイギリスをはじめとする外部の影響を受けて困難な状況にあり、経済的自立を目指す必要に迫られました。

統治

サイードの統治が始まった1930年代には、彼は外交と内政において積極的な行動を取りました。特に外交面では、サイードはアメリカ合衆国との関係を深化させるべく努力しました。彼は1938年にアメリカを訪れ、フランクリン・ルーズベルト大統領と会談しました。これによりオマーンとアメリカの友好関係が築かれました。また、彼はイギリスに協力し、戦争中にはオマーン国内でイギリス空軍の飛行場を建設しました。

内政面では、1937年にオマーンの石油利権をイラク石油から手に入れることに成功しました。部族間の抗争が続いていた内陸部を支配下に置くことに成功し、数度の反乱をしっかりと鎮圧しました。しかし、サイードの統治は厳しい統制を伴い、その結果、教育や医療などのインフラが未発達のままでした。識字率はわずか5%に過ぎず、学校は3校しか存在していませんでした。

退位

1970年、サイードは息子のカーブースによって無血クーデターにより廃位されました。カーブースはイギリスのサポートを受けて父を追放し、サイードはロンドンに留まることとなります。サイードは亡くなる前の数年間をドーチェスター・ホテルで過ごし、最終的には故郷オマーンに埋葬されることになりました。

栄誉

サイードは彼の支配において、インド帝国勲章や聖マイケル・聖ジョージ勲章などを受賞しており、彼の功績は国際的にも評価されていました。

サイード・ビン・タイムールの治世は、オマーンの歴史における転換点として重要であり、彼の政策と行動は後の世代に大きな影響を与えました。

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