サザン鉄道 (アメリカ)

サザン鉄道の歴史

サザン鉄道（Southern Railway）は、アメリカ合衆国にかつて存在した鉄道会社です。1830年代から150近い鉄道会社が合併・再編を繰り返した結果、1894年に正式にサザン鉄道として設立されました。その路線網は全て標準軌で、本社はワシントンD.C.に置かれていました。1982年にはノーフォーク・アンド・ウェスタン鉄道との合併により、ノーフォーク・サザン鉄道へと移行しました。

黎明期から南北戦争

サザン鉄道のルーツは、アメリカでも初期の鉄道であるサウスカロライナ・キャナル・アンド・レールロードカンパニーに遡ります。1830年、この会社はサウスカロライナ州チャールストンで蒸気機関車「ベスト・フレンド・オブ・チャールストン」による定期旅客列車の運行を開始しました。当時、アメリカで最初の蒸気機関車による旅客列車を運行したボルチモア・アンド・オハイオ鉄道と同時期にあたります。1833年にはハンバーグまで延伸され、その路線は当時世界最長となりました。鉄道建設は南部諸州で活発化し、やがてアレゲーニー山脈を越えて路線を拡大しました。1857年にはチャールストンとテネシー州メンフィスが結ばれましたが、南北戦争の勃発により、鉄道網の拡張は一時中断されました。バージニア州では、リッチモンド・アンド・ヨーク・リバー鉄道が戦場となり破壊され、リッチモンド・アンド・ダンビル鉄道は連合国政府の脱出に利用されました。

南北戦争後の再建とサザン鉄道の成立

南北戦争は南部鉄道網に大きな損害を与えましたが、戦後復興の中で、鉄道は修復・再編され、再び動き始めました。オハイオ川やミシシッピ川沿いでは新しい鉄道建設が進められました。リッチモンド・アンド・ダンビル鉄道は路線網を拡大しましたが、1893年に経営危機に陥り、投資家ジョン・モルガンによってサザン鉄道へと再編されました。1894年にサザン鉄道が正式に発足し、リッチモンド・アンド・ダンビル鉄道とイースト・テネシー・バージニア・アンド・ジョージア鉄道が統合されました。サザン鉄道は4,400マイルの路線を運営し、その3分の2を所有し、残りは借り受けや運行契約で運営していました。

サザン鉄道の成長と革新

初代社長サミュエル・スペンサーは、新線の建設、テネシー州ノックスビルとジョージア州アトランタの工場建設、設備の導入を行いました。タバコや木綿の輸送に依存した経営からの脱却を目指し、輸送の多角化と工業振興に注力しました。1916年にはミシシッピ州メリディアンとルイジアナ州ニューオーリンズを結ぶ路線を買収し、路線網は13州、8,000マイルに拡大しました。1963年にはセントラル・オブ・ジョージア鉄道と合併、1974年には旧ノーフォーク・サザン鉄道を買収しました。

アメリカ鉄道史におけるサザン鉄道の特徴

サザン鉄道とその前身は、アメリカの鉄道において多くの初の試みを行ってきました。1833年には軍の兵士と郵便物を蒸気機関車牽引の列車で初めて輸送し、夜行列車も初めて運行しました。1953年には、アメリカの1級鉄道の中で最初に完全ディーゼル化を達成しました。また、コンピュータによる近代化、特殊車両やユニット石炭列車の開発など、常に変化の最前線に立っていました。「サザン鉄道は進歩に青信号を出す」というキャッチフレーズが、その革新的な姿勢を象徴しています。さらに、安全性を重視し、フード付き機関車を導入しました。1960年代初頭には、社長のウィリアム・クレイターの時代に蒸気機関車による観光運転も開始されました。

列車愛称

サザン鉄道では多くの列車に愛称がつけられていました。「エーケン-オーガスタスペシャル」、「アシュビル・スペシャル」、「バーミングハム・スペシャル」、「カロライナ・スペシャル」、「クレセント」、「フロリダ・スペシャル」、「ピーチ・クイーン」、「ペリカン」、「ピードモント・リミテッド」、「ポンセ・デ・レオン」、「ロイヤル・パーム」、「サザーナー」、「サニーランド」、「テネシアン」など、多様な愛称が鉄道の旅を彩りました。

ノーフォーク・サザン鉄道への統合

1980年にCSXトランスポーテーションが設立されたのに対抗し、サザン鉄道は1982年にノーフォーク・アンド・ウェスタン鉄道と合併し、ノーフォーク・サザン鉄道となりました。この合併により、アメリカ合衆国東部の鉄道網はさらに強化されました。

サザン鉄道傘下の会社

サザン鉄道は、アラバマ・グレート・サザン鉄道、セントラル・オブ・ジョージア鉄道、シンシナティ・ニューオーリンズ・アンド・テキサス・パシフィック鉄道など、多くの鉄道会社を傘下に収めていました。

主要な操車場

テネシー州チャタヌーガのデバッツ操車場、ジョージア州アトランタのインマン操車場、ノースカロライナ州リンウッドのスペンサー操車場など、多くの操車場が運営されていました。

サザン鉄道の歴代社長

サミュエル・スペンサーからハロルド・H・ホールまで、多くの社長がサザン鉄道の発展に貢献しました。

サザン鉄道は、アメリカの鉄道史において重要な役割を果たし、多くの革新をもたらしました。その歴史は、現在のノーフォーク・サザン鉄道へと引き継がれています。

もう一度検索