サバキ

サバキとは

サバキとは、囲碁における高度なテクニックの一つです。具体的には、相手の陣地に打ち込んだり、模様を消したりする際に、自分の石の強弱を的確に見極め、弱い石や孤立した石をうまく処理することを指します。単に石を助けるだけでなく、捨て石を利用して全体の形を整え、有利な状況を作り出すのがサバキの大きな特徴です。

サバキの考え方

サバキでは、全ての石を助けようとするのではなく、時には石を捨てることも重要です。特に敵の勢力圏内では、無理に石を助けようとすると、逆に相手の勢力を強めてしまうことがあります。そのため、時には一部の石を犠牲にして、全体の形を整え、より大きな利益を得ることを目指します。この判断には、高度な読解力と状況判断能力が求められます。

サバキの手筋

サバキには様々な手筋が存在しますが、代表的なものとしては、相手の石に「ツケ」てから調子を求める方法があります。また、石数が少ない時には斜めのラインを意識することも重要とされています。これらの手筋を駆使することで、相手の攻撃をかわし、自分の形を有利にすることができます。

サバキの例

以下に、実際の対局でサバキがどのように用いられるかの例を2つご紹介します。

例1

黒1の切りに対し、白が下方の2子を助けようと白2、4とアテて押すと、黒に△の石を取られてしまいます。ここでは白2のツケが好手です。黒3と抵抗するならば、白4から6と突き出し、8と曲がれば、右方の黒2子を制圧しつつ、白が優勢になります。白2のトビツケに対し、黒は3と伸びるのが一般的で、以下6まで進むのが定石です。

この例では、白が無理に石を助けようとせず、ツケという手筋を使ってサバキを成功させています。

例2

高中国流の布石から、白が右下の黒模様に侵入した場面です。白1と素直に繋ぐと、黒2、4、6と攻められ、下辺が黒地として固まってしまい、白は眼を作ることも難しくなってしまいます。

そこで白1が好手となります。もし黒が2と切って来るならば、白は5から7と突き破り、▲の石を腐らせて白が優勢になります。このように、敵の勢力圏内でのサバキでは、全ての石を助けようとせず、捨て石を効果的に使うことが重要です。黒も無理に切って取りにいかず、2から6と打つのが無難です。以下白7まで、眼型も豊富で攻められにくい形になり、白のサバキ成功と見なされます。

この例では、白が捨て石を有効に活用することで、敵の勢力をそぎ、自らの形を有利にしています。

参考図書

より深くサバキについて学びたい方は、以下の書籍を参考にしてください。

『依田紀基のサバキの急所と手筋 (NHK囲碁シリーズ) 』日本放送出版協会　1994年
『片岡聡 サバキのテクニック (NHK囲碁シリーズ)』日本放送出版協会　2002年
* 依田紀基『サバキの最強手筋』成美堂出版　2003年

これらの書籍は、サバキの基本的な考え方から高度なテクニックまでを詳しく解説しており、囲碁の腕を磨く上で大いに役立つでしょう。

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