ツケ

囲碁における「ツケ」

囲碁用語の「ツケ」とは、すでに盤上に存在する相手の石に隣接するように自分の石を打つ着手のことを指します。これは、相手の石に直接的に働きかける、戦略上非常に重要なテクニックです。例えば、相手の石のすぐ隣に自分の石を置くことで、相手の石の動きを制限したり、自分の石の勢力を拡大したりする狙いがあります。

ツケの基本的な意味と用法

「ツケ」は、基本的に単独で打つ場合に使われる用語です。しかし、打った石の周囲に味方や相手の石が存在する場合には、別の用語が使われることが一般的です。

ハネ: 自分の石が相手の石の斜め後ろに接するように打つ手。
ワリコミ: 相手の石の間を割るように打つ手。

このように、状況に応じて適切な用語を選択することが、囲碁の理解を深める上で重要になります。

ツケの派生形

ツケには様々な派生形が存在し、それぞれが特定の状況で効果的な戦略となります。

コスミツケ: コスミの形を取りながら相手の石にツケる手。
トビツケ: トビの形を取りながら相手の石にツケる手。

さらに、ツケと他の手を組み合わせた用語も存在します。

ツケヒキ: ツケた後にヒク手を指します。この一連の手順は「ツケヒキ定石」として知られています。
ツケノビ: ツケた後にノビる手を指します。この手順もまた「ツケノビ定石」として有名です。

これらの定石は、実戦で頻繁に現れるため、覚えておくと役立ちます。

特殊なツケ

特定の状況下で使われる特殊なツケも存在します。

ハサミツケ: 相手の石を挟むようにツケる手。サバキやヨセの局面でよく用いられます。
ツケコシ: ケイマの位置にある相手の石の間にツケ、相手の石を分断する手。囲碁の格言に「ケイマにツケコシ」というものがあります。
鼻ヅケ: 相手の石の先端にツケる手。相手の応手次第で大きな利益を得られる可能性があります。

ツケに関する格言

囲碁の世界には、ツケに関する格言がいくつか存在します。

弱い石にツケるな: ツケは自分の石を強化する一方、相手の石も強くしてしまう可能性があるため、相手の弱い石に対しては直接ツケるよりも、間接的に攻める方が有効な場合が多いです。
* サバキはツケから: 敵の勢力圏内でサバく場合には、相手の石にツケることで手がかりを得ることができます。相手の石に直接働きかけ、形勢を有利に進めることが可能です。

まとめ

「ツケ」は、囲碁における基本的ながらも奥深いテクニックの一つです。単に相手の石に隣接して打つだけでなく、その状況や派生形、格言などを理解することで、より戦略的な囲碁を打つことができるようになります。

参考資料

趙治勲著『ツケの技法 (最強囲碁塾)』河出書房新社

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