サブスタンス (ニュー・オーダーのアルバム)

ニューオーダーの1987年発表作品『サブスタンス(Substance)』は、彼らのキャリアを象徴するベストアルバムです。1981年のデビューシングル「セレモニー」から「トゥルー・フェイス」までの代表曲を網羅した、同バンドの重要な作品と言えるでしょう。

このアルバムの特徴は、収録されている楽曲のほとんどが12インチシングルバージョンである点です。特に「テンプテーション」と「コンフュージョン」は、アルバム用に新たにレコーディングされたバージョンが使用されています。楽曲のソースは、彼らの所属レーベルであるファクトリー・レコード、そしてファクトリー・レコードとベルギーのクレプスキュール・レーベルの共同レーベルであるファクトリー・ベネルクスからのリリース音源が用いられています。中には『Movement』や『Power, Corruption & Lies』といったオリジナルアルバムには未収録だった楽曲も含まれており、それらが初めてアルバムに収録されたという点も特筆すべきでしょう。「シーヴス・ライク・アス」までのシングル曲に加え「シェルショック」「ステイト・オブ・ザ・ネイション」など、多くの楽曲がオリジナルアルバム初収録となっています。ただし、「ブルー・マンデー」や「ステイト・オブ・ザ・ネイション」のように、リリース国やアルバムの再発によって収録状況が異なる楽曲も存在します。マスタリングはマンチェスターのSpirit Studioで行われました。ファクトリー・レコードにおけるカタログ番号はFACT 200です。

リリースフォーマットは、アナログ盤とCD盤の2種類が用意されました。国によってはカセットテープも発売されています。アナログ盤は12インチシングル2枚組で、各面に3曲が収録されています。一方、CD盤は2枚組で、ディスク1には全12曲が収録され、ディスク2には12インチシングルのカップリング曲などが追加収録されています。カセットテープ版には、CDには収録されていない「Mesh」「Dub Vulture」「Shellcock」といった楽曲も含まれていました。

『ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500』では、363位にランクインしており、その評価の高さがうかがえます。

日本でのリリースは、1987年8月10日に日本コロムビアから、世界に先駆けて行われました。フォーマットは12インチシングル2枚組とCD2枚組の2種類でした。しかし、1992年のファクトリー・レコードの破産に伴い、ニューオーダーはロンドン・レコードに移籍。日本での発売元もポリドール（現ユニバーサルミュージック）に変更となり、1993年11月6日にCD2枚組で再リリースされました。この際、12インチシングルは発売されませんでした。

日本コロムビア盤の洋楽アルバムには歌詞カードが付属しないケースが多かったのですが、このアルバムも例外ではありませんでした。しかし、ポリドール盤には歌詞カードが付属していました。逆に、日本コロムビア盤のシングルには歌詞カードが付属していることが多く、「ブルー・マンデー」などでは帯に歌詞が印刷されていました。「テンプテーション」以降のシングルにも歌詞カードが付属していました。ただし、歌詞カードには誤った歌詞が記載されていたケースもあり、「Thieves Like Us」や「1963」など一部楽曲で歌詞に誤りが含まれていました。

収録曲は、日本コロムビア盤とポリドール盤で共通しており、オリジナルのファクトリー・レコード盤と順番も同じです。日本コロムビア盤の12インチシングル2枚組は、CD版の曲順に沿って収録されていました。

アルバムのジャケットはシンプルで、「NEW ORDER SUBSTANCE 1987」という文字のみが刻まれています。このデザインは、先行リリースされた「トゥルー・フェイス」のジャケット裏面のデザインと類似しています。「トゥルー・フェイス」のジャケット裏面には「NEW ORDER TRUE FAITH 1963」と記載されており、日本コロムビア盤の12インチシングル「トゥルー・フェイス」の歌詞カードにも同様の記載がありました。

アルバム用に新録音された「テンプテーション」と「コンフュージョン」のバージョンは、後のベスト盤ではオリジナルの7インチバージョンが使用されているため、『サブスタンス』でしか聴くことができない貴重なバージョンとなっています。

また、このアルバムに収録されている「コンフューズド・インストゥルメンタル」は、日本のテレビ番組『タモリ倶楽部』の「空耳アワー」で紹介されたこともあります。

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