サブスティテュート〜ザ・ソングス・オブ・ザ・フー

『サブスティテュート〜ザ・ソングス・オブ・ザ・フー』は、2001年にリリースされたザ・フーのトリビュート・アルバムです。このアルバムは、ザ・フーの楽曲を様々なアーティストがカバーしたもので、ピート・タウンゼンド自身も公認しています。エグゼクティブ・プロデューサーは、長年にわたりザ・フーのライブ・サウンド・エンジニアを務めてきたボブ・プリデンが担当しました。

アルバムには、イギリスを中心としたアーティストに加え、パール・ジャム、ファストボール、フィッシュ、シェリル・クロウといったアメリカのアーティストも参加しています。これは、ザ・フーの音楽が国境を越えて広く愛されていることの証左と言えるでしょう。

制作の背景

ボブ・プリデンによると、アルバム制作のきっかけは、キャストによる「ザ・シーカー」のカバーを録音し、それを家族に聴かせた際、彼の娘がザ・フーのカバー・アルバムを提案したことでした。このアイデアがきっかけとなり、プロジェクトが動き出したのです。

キャストの「ザ・シーカー」とポール・ウェラーの「ザ・サークルズ」は、ジョン・エントウィッスルの所有するハマーヘッド・スタジオでレコーディングされました。また、オーシャン・カラー・シーンの「エニウェイ、エニハウ、エニホエア」も、同スタジオでオーバー・ダビングが行われています。

フィッシュによる「5時15分」のカバーは、新録音ではなく、1995年10月31日のライブ音源が使用されました。一方、「恋のピンチ・ヒッター」は、2000年11月27日に行われたザ・フーのロイヤル・アルバート・ホール公演におけるライブ録音で、ステレオフォニックスのケリー・ジョーンズがゲスト参加しています。さらに、ステレオフォニックスによる「フー・アー・ユー」には、ノエル・ギャラガーがバッキング・ボーカルとして参加しました。

収録曲と評価

アルバムには、以下のような楽曲が収録されています。

1. ザ・シーカー - The Seeker（キャスト）
2. エニウェイ、エニハウ、エニホエア - Anyway Anyhow Anywhere（オーシャン・カラー・シーン）
3. サークルズ - Circles（ポール・ウェラー）
4. リリーのおもかげ - Pictures Of Lily（デヴィッド・ボウイ）
5. キッズ・アー・オールライト - The Kids Are Alright（パール・ジャム）
6. リアル・ミー - The Real Me（ファストボール）
7. ネイキッド・アイ - Naked Eye（アンアメリカン）
8. フー・アー・ユー - Who Are You（ステレオフォニックス）
9. 5:15（5時15分） - 5:15（フィッシュ）
10. ビハインド・ブルー・アイズ - Behind Blue Eyes（シェリル・クロウ）
11. 恋のピンチ・ヒッター - Substitute（ザ・フー・フィーチャリング・ケリー・ジョーンズ）

アルバムの評価は賛否両論ありました。オールミュージックのDan LeRoyは、5点満点中1.5点と低い評価を与え、シェリル・クロウ、ポール・ウェラー、キャストを好意的に評価する一方で、デヴィッド・ボウイ、ファストボール、フィッシュ、パール・ジャム、そしてザ・フー自身の演奏を批判しました。

しかし、『ガーディアン』紙のデイヴ・シンプソンは、5点満点中3点を付け、「どのグルーヴからも愛情と敬意が聴き取れる」「最も興味深いのは、参加アーティスト達が、今まで隠していた深みを披露している点だ」と評し、好意的な評価を与えています。このアルバムは、参加アーティストそれぞれの個性が光る、ザ・フーへの愛情に満ちたトリビュート作品と言えるでしょう。

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