サラソウジュ

サラソウジュ（沙羅双樹）とは

サラソウジュ（学名: Shorea robusta）は、フタバガキ科サラノキ属に分類される常緑高木です。別名として、シャラソウジュ、サラノキ、シャラノキとも呼ばれます。しかし、日本で寺院に植えられている「サラソウジュ」の多くは、実際にはナツツバキであることが多いです。これは、サラソウジュが日本の気候に合わず、生育が難しいためです。

特徴

サラソウジュは、高さが30メートルにも達する高木です。春には白い花を咲かせ、ジャスミンのような甘い香りを放ちます。ただし、耐寒性が非常に弱く、日本では温室などの特別な環境下でしか栽培できません。草津市立水生植物公園みずの森や新宿御苑などで見ることができます。

分布

サラソウジュは、インドから東南アジアにかけて広く分布しています。熱帯地域に自生し、高温多湿な環境を好みます。

仏教におけるサラソウジュ

サラソウジュは、仏教において非常に重要な木です。釈迦が入滅した際、2本のサラソウジュの木の下で亡くなったとされ、このことから「沙羅双樹」とも呼ばれます。サンスクリット語では「シャーラ」または「サーラ」と呼ばれ、これが日本語の「シャラ」や「サラ」の語源となっています。

釈迦が入滅した時、周囲の沙羅樹は時を同じくして花を咲かせ、たちまち枯れて白くなったと伝えられています。この様子は、鶴の群れのようだったと表現されています。仏教では、無憂樹（釈迦が生まれた場所にあった木）、印度菩提樹（釈迦が悟りを開いた場所にあった木）とともに、サラソウジュは三大聖樹の一つに数えられています。

利用

サラソウジュは、かつて東南アジアで建築材やカヌーの材料として広く利用されていました。また、樹脂は香料や船の防水材として、種子から採れる油は燈火や料理に使われてきました。

サラソウジュが登場する作品

サラソウジュは、文学や音楽、映像作品など、さまざまな分野で取り上げられています。

涅槃図: 釈迦の入滅の様子を描いた涅槃図には、サラソウジュが描かれています。
平家物語: 「祇園精舎の鐘の聲、諸行無常の響あり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を顕す。」という有名な一節があります。この一節で、サラソウジュは諸行無常の象徴として用いられています。
音楽: 谷山浩子の「沙羅双樹」や、Kagrraの「沙羅双樹の子護唄」など、サラソウジュをテーマにした楽曲が複数存在します。
映画: 2003年には、サラソウジュを題材にした日本映画も公開されました。また、島谷ひとみの楽曲「沙羅双樹」もバラード曲として知られています。

関連項目

ブッダ
涅槃
平家物語
摩耶夫人
ナツツバキ

外部リンク

Ashton, P. (1998). "Shorea robusta". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2.3. International Union for Conservation of Nature. 2011年5月13日閲覧。 （英語）
"Shorea robusta Gaertner f." (英語). Integrated Taxonomic Information System. 2011年5月13日閲覧。 （英語）
"Shorea robusta Gaertner f." - Encyclopedia of Life （英語）
* すずき　みのり. “「サラノキ」(ショレア・ロブスタ)”. 花夢ギャラリー. 2010年12月23日閲覧。

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