サリー・G

サリー・G (Sally G)

「サリー・G」は、イギリスのロックバンド、ポール・マッカートニー&ウイングスが1974年に発表した楽曲です。当時リリースされたシングル「ジュニアズ・ファーム」(Junior's Farm)のカップリング曲として世に送り出されました。

制作背景と音楽性

この楽曲は、1974年7月にアメリカの音楽の聖地、ナッシュビルでレコーディングされました。ポール・マッカートニーとウイングスのメンバーは、この地の空気を感じながら、現地の優れたセッション・ミュージシャンと共に制作に臨みました。楽曲は典型的なカントリーナンバーとして仕上げられており、そのサウンドを特徴づけるために、ドブロ・ギター、ペダル・スティール・ギター、フィドルといったカントリーミュージックに欠かせない楽器が効果的にフィーチャーされています。こうした楽器編成により、ウイングスの他の作品とは一線を画す、本格的なカントリーサウンドが実現しています。

チャートでの足跡

「サリー・G」は、シングルのB面でありながらも、アメリカの主要なチャートで注目すべき成績を残しました。ビルボード誌のシングル・チャートにおいては、当初A面の「ジュニアズ・ファーム」と共に「ジュニアズ・ファーム／サリー・G」というクレジットでエントリーされ、最高位である3位まで上昇しました。その後、順位が下降する過程で表記が「サリー・G／ジュニアズ・ファーム」と逆転する興味深い展開を見せました。さらに特筆すべきは、「サリー・G」単独の表記で再びチャートインを果たしたことです。この際は66位で再登場し、最終的に39位まで順位を上げました。これは、B面曲としては異例の成功であり、楽曲単体の持つ魅力や、カントリーサウンドへの関心の高まりを示唆しています。また、カントリー専門のチャートにおいても51位にランクインしており、そのジャンルにおける評価も得ています。

アルバム収録

当時のウイングスの多くのシングル曲と同様に、「サリー・G」も発表時のオリジナル・アルバムには収録されませんでした。ファンの間では、この隠れた名曲がアルバムに収められることが待ち望まれていましたが、実現したのは後のこととなります。1993年に、ポール・マッカートニーの作品群を網羅する大規模なデジタル・リマスター再発企画、「ポール・マッカートニー・コレクション」が実施された際に、アルバム『スピード・オブ・サウンド』のボーナス・トラックとして初めて公式なアルバムに収録されることとなりました。これにより、より多くの音楽ファンがこの楽曲に触れる機会を得ることになりました。

参加ミュージシャン

この楽曲のレコーディングには、ウイングスのレギュラーメンバーに加え、ナッシュビルのセッション・ミュージシャンがゲストとして参加し、カントリーサウンドに貢献しています。

ウイングス
ポール・マッカートニー: リード・ボーカル、バッキング・ボーカル、アコースティック・ギター
リンダ・マッカートニー: バッキング・ボーカル
デニー・レイン: バッキング・ボーカル
ジミー・マカロック: バッキング・ボーカル、アコースティック・ギター
ジェフ・ブリトン: ドラムス

ゲスト
ロイド・グリーン: ドブロ・ギター、ペダル・スティール・ギター
ボブ・ウィルス: フィドル
ジョニー・ギンブル: フィドル

参考文献

* Luca Perasi. 『Paul McCartney: Recording Sessions (1969-2013)』. L.I.L.Y. Publishing, 2013.

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