サルディス

古代 都市サルディスの歴史と繁栄

サルディス、またはサルデスは、現在のトルコ共和国マニサ県サルトに位置する古代都市です。かつてはリュディア王国の首都として栄え、その後もペルシア帝国やローマ帝国といった大国の支配下で重要な都市であり続けました。その歴史は古く、紀元前8世紀にリュディア王国が台頭する中心地となりました。

軍事と交易の要衝

サルディスの重要性は、その軍事的な優位性と、内陸部とエーゲ海を結ぶ交易路の要所に位置することにありました。さらに、ヘルムス川（現在のゲディズ川）流域の肥沃な平野を支配していたことも、その繁栄を支える要因となりました。この立地は、サルディスを政治・経済の中心地として発展させる上で非常に有利に働きました。

サルディスの地理的特徴

サルディスはヘルムス渓谷の中流に位置し、トモロス山（現在のボズ山）の麓にアクロポリスが築かれました。ヘルムス川からは約4km南に位置しています。現在の遺跡は、トルコのマニサ県サリフリ近郊のサルト村にあり、アンカラ・イズミル間の高速道路に隣接しています。遺跡の一部は一般公開されており、公衆浴場とギュムナシオンの複合施設、シナゴーグ、東ローマ時代の商店などが残っています。

歴史の中でのサルディス

サルディスに関する最古の記録は、紀元前5世紀のアイスキュロスの戯曲『ペルシア人』に見られます。ホメロスの叙事詩『イーリアス』には、マイオニア人（リュディア人）の都市として「Hyde」という名前で登場しますが、これがサルディスの古名またはアクロポリスの名称であると考えられています。紀元前7世紀にはキンメリア人、紀元前6世紀にはペルシア人とイオニア人、紀元前3世紀にはアンティオコス3世によって占領された歴史があります。

キュロス2世によってペルシアが征服した後、サルディスはペルシア帝国の主要な都市となり、首都ペルセポリスから伸びる王の道の終点となりました。しかし、イオニアの反乱の際には、イオニア人によって焼き払われるという被害も受けています。その後、紀元前334年のアレクサンドロス大王の遠征までペルシアの支配下にありました。

ローマ帝国時代には、サルディスは度重なる地震に見舞われましたが、その度に再建されました。東ローマ帝国時代には、小アジア西部の重要な都市であり続けました。また、リュディア王国時代には工芸が発展し、特に毛織物や敷物の生産、染色が盛んでした。かつては砂金を運ぶパクトロス川が流れ、トモロス山からは砂金が産出され、貿易と商業によって富がもたらされました。

東ローマ帝国の首都がコンスタンティノポリスに移ると、サルディスの重要性は一時的に低下しましたが、295年にはリュディア属州の首都大司教座となり、依然として重要な地位を保ちました。10世紀には、エフェソスやスミュルナに次ぐ重要な都市として認識されていましたが、その後、周辺都市の台頭によってその勢いは衰えました。

11世紀以降はセルジューク朝の侵入に苦しみましたが、12世紀には東ローマ帝国に回復しました。13世紀にはニカイア帝国の支配下に入り、その後、14世紀にはガーズィーのアミールたちに支配されるようになりました。1402年にはティムールの軍勢によって占領され、衰退の一途を辿りました。

考古学的発掘調査

19世紀には、サルディスの遺跡は主にローマ時代の建築物のみが地表に残っていました。1910年から1914年にかけて、プリンストン大学の調査隊によって最初の本格的な発掘調査が行われ、アルテミス神殿やリュディア人の墓が発見されました。発掘調査は第一次世界大戦とトルコ革命によって中断されましたが、その後再開され、現在ではウィスコンシン大学マディソン校のニック・カーヒル教授の指揮の下で発掘が続けられています。発掘された遺物は、マニサ考古学博物館に収蔵されています。

ディアスポラのシナゴーグ

1958年以降、ハーバード大学とコーネル大学が共同で後援する発掘調査によって、非常に重要なディアスポラのシナゴーグが発見されました。シナゴーグの床には美しいモザイクが施されており、80以上のギリシア語の碑文と7つのヘブライ語の碑文が出土しました。この発見は、ローマ帝国末期のユダヤ教に関する従来の説を覆すものであり、ユダヤ人コミュニティがローマ市民生活に適合していたことを示唆しています。

このシナゴーグは、公衆浴場とギュムナシオンの複合施設の一部として建設され、450年から500年間使用されました。当初は着替えや休憩スペースとして使われていましたが、後にシナゴーグとして利用されるようになりました。616年にサーサーン朝によって複合施設が破壊されるまで、その機能は維持されました。

結論

サルディスは、古代から中世にかけて重要な役割を果たした都市であり、その遺跡は今もなお歴史を物語っています。発掘調査によって明らかになった新たな発見は、古代の社会や文化に関する理解を深める上で非常に貴重な資料となっています。

もう一度検索