サルトビ小山

サルトビ小山

日本の元プロボクサー、サルトビ小山こと小山繁幸は、1949年10月5日に山形県上山市で三兄弟の末弟として生を受けました。現役時代は東京の笹崎ボクシングジムに所属し、そのキャリアを通じて第6代日本スーパーバンタム級チャンピオンとして名を馳せました。

ボクシングキャリア

プロボクサーを目指して上京したサルトビ小山は、当初、別のジムへの入門を考えていましたが、知人の紹介で見学に訪れた笹崎ジムで、当時憧れであったファイティング原田の姿を目にし、同ジムへの入門を決意しました。

1967年1月にプロデビューを果たし、同年12月には東日本バンタム級新人王を獲得。翌1968年1月には全日本バンタム級新人王決定戦を制し、新人王の栄冠に輝きました。この時期は笹崎ジムの黄金期とも重なります。

キャリアを積み重ねる中で、1969年11月には当時格上と見られていた金沢和良選手との対戦でKO負けを喫しますが、この敗戦を糧に、その後1度の引き分けを挟んで12連勝を記録するなど、着実に強さを増していきました。

1971年2月17日、プロ29戦目で原田武男選手を破り、日本スーパーバンタム級王座を獲得。その後、和歌山でのダイレクトリマッチを含む4度の防衛に成功しました。

防衛ロードの途上、1971年7月には元メキシコオリンピック代表のタッド岡本選手とノンタイトルで再戦し引き分けとなりましたが、この試合で顎を骨折しながらも試合を続行するという壮絶な経験をしています。この負傷により、長期間のブランクを余儀なくされました。

1972年3月には、故郷である山形県営体育館で凱旋試合を行い、地元ファンの前で日本王座2度目の防衛に成功し、大きな声援を受けました。同年8月には後楽園ホールで3度目の防衛を果たします。

王座在位中に、1972年10月には韓国・釜山で東洋スーパーバンタム級チャンピオン張奎喆選手に挑戦しましたが、これは王座獲得に失敗しました。しかし、同年12月には日本王座4度目の防衛に成功しています。

しかし、眼疾を患ったため、1973年3月のノンタイトル戦を最後に現役を引退することを決意。保持していた日本スーパーバンタム級王座を返上しました。最終的なプロ戦績は37戦29勝（11KO）6敗2分という素晴らしい記録を残しました。

引退後の活動

プロボクサー引退後、サルトビ小山は多様な分野に挑戦しました。一時期は役者を志し、千葉真一氏が主宰するジャパンアクションクラブの3期生として数年間活動。「二百三高地」や「仮面ライダー」といった作品にも出演経験があります。

また、接客業に従事していた際にボクシングジム開設の誘いを受けたこともありましたが、「現役への未練がある状態では選手の指導はできない」としてこれを断ったというエピソードは、彼の真摯な人柄を物語っています。

その後、ボクシング界への情熱が再び燃え上がり、ファイティング原田ジムでチーフトレーナーとして指導にあたりました。多くの選手の育成に貢献し、現役時代とは異なる形でボクシング界に貢献を続けました。トレーナーとして活動していた時期には、伊達政宗にあやかったという刀の鍔を模した眼帯をトレードマークとしていました。

現役時代は、野口ジムの黒沢元三や世界チャンピオンの柴田国明、同門の牛若丸原田といった著名な選手たちのスパーリングパートナーを務めるなど、トップ選手たちのレベルアップにも貢献しました。また、桜井孝雄氏が世界タイトルに挑戦した際には、対戦相手であるライオネル・ローズのスパーリングパートナーを務めた経験もあります。

サルトビ小山は、チャンピオンとしての実績だけでなく、その多才なキャリアとボクシング界への貢献を通じて、多くの人々に影響を与えた人物です。

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