サルドゥリ2世

サルドゥリ2世：ウラルトゥ王国の盛衰

サルドゥリ2世（在位：紀元前753年頃 - 735年頃）は、古代国家ウラルトゥの王であり、その治世は王国の絶頂と衰退の転換点となりました。彼はサルドゥル、サルドゥリシュとも呼ばれています。

偉大な expansionと軍事的才能

サルドゥリ2世は、父であるアルギシュティ1世の跡を継ぎ、積極的に領土拡大政策を推進しました。北東のトランスコーカサス地方では、ビアイニリ国などの抵抗勢力が存在しましたが、サルドゥリ2世自身の軍事的才能と将軍たちの活躍により、これらの国々を打ち破りました。

アッシリアとの対立

一方、南方の宿敵であるアッシリア帝国とは、常に緊張状態にありました。ウラルトゥがアッシリアにとって重要な鉄や馬の供給源であるアナトリア半島への連絡路を抑えていたことが、対立の根本的な原因でした。サルドゥリ2世はこの状況を利用し、北シリアの小国を次々と服属させ、ウラルトゥの勢力圏は史上最大規模に拡大しました。

ティグラト・ピレセル3世の登場と敗北

しかし、紀元前745年頃にティグラト・ピレセル3世がアッシリア王に即位したことが、ウラルトゥにとって大きな転換点となります。ティグラト・ピレセル3世は、先代の王たちとは異なり、オリエント地域における覇権を脅かすウラルトゥに対し、武力による対抗を決意し、軍制改革を断行しました。彼は交通の要衝である北シリアに侵攻し、ウラルトゥの勢力排除を試みました。ウラルトゥに味方していた北シリアのアルパドは、アッシリア軍の攻撃に3年間耐えましたが、紀元前735年にウラルトゥからの援軍が到着したものの、ユーフラテス川西岸での決戦でアッシリア軍に敗北。サルドゥリ2世自身も首都トゥシュパ（現在のヴァン）に逃げ帰りました。アッシリア軍は追撃の手を緩めず、トゥシュパを攻撃したと伝えられています。

王国の衰退

この敗戦により、ウラルトゥはアッシリアに国境地帯を奪われ、さらに多くの総督が離反する事態となりました。サルドゥリ2世自身もアッシリア軍によって討ち取られたという説もあります。彼の治世を境に、ウラルトゥ王国は最盛期から衰退へと向かうことになったのです。サルドゥリ2世の跡は、息子のルサ1世が継承しました。

サルドゥリ2世の時代は、ウラルトゥ王国がその版図を最大に広げた輝かしい時代であると同時に、アッシリアという強大な敵との対立によって衰退の兆しが見え始めた時代でもありました。彼の治世は、ウラルトゥ王国の歴史における重要な転換点として位置づけられています。

参考文献
Пиотровский Б. Б. Ванское царство (Урарту), Издательство Восточной литературы, Москва, 1959
（邦訳）『埋もれた古代王国の謎 幻の国ウラルトゥを探る』（ボリス・ボリソヴィッチ・ピオトロフスキー著　加藤九祚訳　岩波書店） ISBN 9784000001601 (4000001604)
* Меликишвили Г. А. Урартские клинообразные надписи, Издательство АН СССР, Москва, 1960

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