サルドゥリ4世

サルドゥリ4世は、ウラルトゥ王サルドゥリ3世の息子であると推測されています。この推測は、彼の父親の名前が「サルドゥリ」であるという事実に基づいています。しかし、サルドゥリ4世に関する史料はわずか2点しか発見されておらず、彼の在位期間や業績など、詳しいことはほとんど分かっていません。

ウラルトゥ王国末期の王位継承は特に不明な点が多く、研究者の間で様々な説が唱えられています。ロシアのオリエント学者I.M.ディアコノフは、サルドゥリ4世が父の死後すぐに王位を継いだのではなく、叔父のエリメナに王位を奪われ、その後、紀元前600年頃にエリメナの息子であるルサ3世から王位を奪還し、最後のウラルトゥ王になったという説を提唱しました。

一方、アルメニアのオリエント学者N.V.アルトゥニヤンは、カルミル・ブルール（古代名テイシュバニ）の発掘調査の結果に基づき、サルドゥリ4世はサルドゥリ3世の死後、特に混乱もなく王位を継承したと推測しています。この説によれば、エリメナはサルドゥリ4世の後にウラルトゥ王位を継いだことになり、サルドゥリ4世の在位期間は紀元前620年前後であったと考えられます。

しかし、これらの説を決定づけるだけの十分な史料はまだ発見されていません。ウラルトゥ王国の終焉について確かなことは、紀元前6世紀の初めにテイシュバニをはじめとする主要な都市がことごとく炎上し、放棄されたという事実です。また、その火災層からは独特なスキタイの鏃が発見されており、スキタイ人が関与する軍隊によって攻撃され、王国が滅亡した可能性が指摘されています。

サルドゥリ4世の治世は、ウラルトゥ王国が滅亡へと向かう激動の時代であり、彼の生涯は史料の少なさから多くの謎に包まれています。今後の研究によって、彼の業績やウラルトゥ王国の末期に関する新たな発見がもたらされることが期待されます。

参考文献

Арутюнян Н. В. Биайнили (Урарту), Издательство Академии наук Армянской ССР, Ереван, 1970
Арутюнян Н. В. Некоторые вопросы последнего периода истории Урарту // Древний Восток, Издательство АН Армянской ССР, Ереван, № 2, 1976
* Дьяконов И. М. Последние годы Урартского государства по ассиро-вавилонским источникам // Вестник Древней Истории № 2, 1951

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