サルドゥリ3世

サルドゥリ3世：ウラルトゥ王国末期の王

サルドゥリ3世は、ウラルトゥ王国が衰退期にあった時代の王であり、その治世は紀元前639年から625年頃と推定されています。彼はルサ2世の息子であり、この時代のウラルトゥに関する史料が非常に少ないため、サルドゥリ3世に関する情報は限られています。

生涯と業績

サルドゥリ3世について確実に分かっているのは、彼の父がルサ2世であったこと、そして彼がアッシリア帝国の王アッシュールバニパルと同時代を生きていたということです。しかし、サルドゥリ3世がルサ2世の次の王であったというのも、あくまで推定に過ぎません。エリメナという人物やその子孫が、サルドゥリ3世よりも先に王位についていたという説も存在します。

当時のウラルトゥは、スキタイの脅威にさらされており、かつての宿敵であったアッシリアと協力関係にあったようです。アッシリアの記録によれば、ウラルトゥはアッシリアの属国となっていた時期もあったとされています。アッシュールバニパルの残した記述には、サルドゥリ3世（記録ではイシュタルドゥリ）がアッシリアの王に対して貢物を納め、服従していた様子が記されています。

首都の移転と経済活動

サルドゥリ3世の時代に、ウラルトゥの首都は従来のトゥシュパ（ヴァン）から、北東のテイシュバニ（現在のアルメニア共和国のカルミル・ブルール遺跡）に移されたと考えられています。カルミル・ブルールの発掘調査では、サルドゥリ3世の時代に属する経済活動に関する粘土板文書が発見されており、当時の経済状況を知る手がかりとなっています。

王位継承

サルドゥリ3世の息子であるサルドゥリ4世も王位を継承していますが、王位の継承順序は明確ではありません。史料の少なさから、ウラルトゥ王国末期の歴史は依然として謎に包まれています。

サルドゥリ3世の時代は、ウラルトゥ王国が衰退し、周辺諸国との関係が変化していく重要な時期でした。彼の治世に関するさらなる研究が、古代オリエント史の理解を深める上で不可欠です。

参考文献

Арутюнян Н. В. Биайнили (Урарту), Издательство Академии наук Армянской ССР, Ереван, 1970
Арутюнян Н. В. Некоторые вопросы последнего периода истории Урарту // Древний Восток, Издательство АН Армянской ССР, Ереван, № 2, 1976
* Дьяконов И. М. Последние годы Урартского государства по ассиро-вавилонским источникам // Вестник Древней Истории № 2, 1951

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