サルバイ条約

サルバイ条約について

概要

サルバイ条約（Treaty of Salbai）は、1782年5月17日にインドのサルバイでイギリス東インド会社とマラーター王国との間で結ばれた講和条約です。この条約は第一次マラーター戦争の終結をもたらし、イギリスとマラーター王国の関係に大きな影響を与えました。サルバイ条約はサールバイ条約、またはサールバーイー条約とも呼ばれることがあります。

背景

1775年以降、イギリスはマラーター王国の前宰相ラグナート・ラーオに支持を提供し、第一次マラーター戦争に関与していました。しかし、1781年に入ると、戦局はイギリスにとって厳しい状況となり、撃退される事態が続いていました。加えて南インドでは第二次マイソール戦争が勃発し、マイソール王国軍はマドラスを包囲するなど、イギリスは新たな危機に直面していました。

このような状況下で、イギリスは同時に二つの戦争を戦うことは不可能であると判断し、ベンガル総督ウォーレン・ヘースティングズは第一次マラーター戦争を終結させる決定を下しました。

条約の締結

そこで、イギリスはマラーターの有力者であるマハーダージー・シンディアとの間で講和交渉を行い、1782年5月17日にサルバイにおいてサルバイ条約を締結しました。この条約の主要な内容は、以下の通りです。

1. イギリスはプランダル条約以降に獲得した領土をマラーター王国に返還するとし、返還された地域にフランス人を入居させることを禁じました。
2. マハーダージーに対してジャムナー川以西の土地の領有権が認められました。
3. イギリスはマラーター王国の宰相を正式に認めることに同意しました。
4. イギリスは以前の宰相ラグナート・ラーオに対して年金を支払うことを約束しました。
5. イギリスはサルセットとバルーチの地域の支配権を持つことが認められました。
6. マラーター王国はマイソール王国に対する戦争に協力することが求められました。

これらの条件は両国間の信頼関係を再構築するための重要な要素となり、条約はウォーレン・ヘースティングズとナーナー・ファドナヴィースの双方によって承認されました。これにより、第一次マラーター戦争は正式に終結しました。

結果

条約締結後、イギリスとマラーター王国はそれ以降20年間の平和を享受し、この時間を利用して互いの領土の安定と貿易の拡大に努めました。しかし、この平和は第二次マラーター戦争の勃発によって破れ、再び両国は敵対的な関係に戻ることとなります。

サルバイ条約は、イギリスのインドにおける影響力を強化するだけでなく、マラーター王国の内部での権力勢力の形成にもつながりました。この条約がもたらした影響は、後のインドの歴史においても重要な位置を占めることとなります。

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