第二次マラーター戦争

第二次マラーター戦争の概要

第二次マラーター戦争は、1803年から1805年にかけてイギリス東インド会社とマラーター同盟の間で行われた一連の戦闘です。この戦争には、グワーリヤルのシンディア家、インドールのホールカル家、ナーグプルのボーンスレー家が関与しました。一般的にはイギリスが勝利したとされていますが、戦後の状況を考えると、実際には引き分けに近い結果でした。

開戦の背景

イギリスが第四次マイソール戦争を終結させた1799年、彼らはマイソール王国の支配を確立しました。この成功を受けて、次の標的として目を付けたのがマラーター同盟でした。マラーター同盟は、ムガル帝国の衰退後、インドで最も強力な勢力となっていました。この時期、内乱が続いており、分裂した諸侯間の争いがイギリスにとってチャンスでした。特に、ホールカル家とシンディア家の対立は、イギリスの介入を容易にしました。

バセイン条約の締結

1796年12月、バージー・ラーオ2世がマラーター王国の宰相に就任しましたが、彼の政権は不安定で、多くの内部抗争が続いていました。1802年10月25日、ヤシュワント・ラーオは宰相府の軍を打ち破り、プネーを占拠しました。バージー・ラーオ2世はイギリスに逃げ込み、イギリスとの軍事保護条約、バセイン条約を締結します。この条約は、マラーター王国の領土割譲を含んでおり、これが他の諸侯の反感を買う原因となりました。

マラーター三国の同盟

このような状況下、ヤシュワント・ラーオは、グワーリヤルのシンディア家やナーグプルのボーンスレー家と軍事的同盟を結び、共同でイギリスに対抗しようとしました。1803年5月、彼らは同盟を結成し、イギリスに立ち向かうことを決意しました。

戦争の経過

戦争は1803年8月8日に勃発しました。イギリスの軍司令官アーサー・ウェルズリーがシンディア家のアフマドナガル城を包囲し、これを占領します。その後、次々とイギリスが勝利を収め、デリー、アリーガル、ムガル帝国の首都デリーを制圧しました。しかし、戦線の膠着状態も見られ、長期戦に突入していきます。1804年上旬にヤシュワント・ラーオはイギリスに講和を申し出ましたが、交渉は失敗し、戦争が続くことになりました。

イギリスの財政問題

この戦争は長期化する中、イギリスも厳しい財政難に直面しました。イギリス東インド会社は巨額の負債を抱え、ナポレオン・ボナパルトの脅威にも直面していました。これにより、リチャード・ウェルズリーは本国に呼び戻され、イギリス側の戦況はますます厳しくなっていきました。さらに、失った領土の統治も困難であり、イギリスは戦局を打開する必要に迫られました。

戦後処理とその影響

戦争は1805年12月24日に講和条約ラージガート条約が結ばれたことで終結しましたが、結果としてホールカル家やシンディア家への領土返還もあったため、マラーター同盟にとっても安息の時期は訪れませんでした。戦争によって生じた混乱は続き、戦後もインドの情勢は不安定でした。しかし、この戦争を通じてイギリスはインドにおける影響力を一層強化したことは確かです。

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