サンジョルジェ島

サンジョルジェ島：アゾレス諸島の隠れた楽園

大西洋に浮かぶポルトガル領アゾレス諸島の一島、サンジョルジェ島は、その独特の自然美と穏やかな暮らしで知られています。ピコ島から北に約15kmに位置し、東西約53km、南北約8kmという細長い形状が特徴です。面積は約237.59平方キロメートルで、アゾレス諸島の中では4番目の大きさ。人口は約1万人と、静かで落ち着いた島時間が流れています。

1439年の発見以来、火山活動の歴史を持つサンジョルジェ島。1580年から1907年にかけて6回の噴火を記録していますが、1907年以降は静穏を保っています。1580年と1808年の噴火では火砕流も発生したと記録されており、島の地形形成に大きな影響を与えました。最高峰のエスペランサ山は1053mの標高を誇り、島のシンボルとして君臨しています。中心となる町はヴェーラスです。

豊かな自然と生物多様性

サンジョルジェ島は、多様な動植物が生息する自然の宝庫です。マカロネシア地域の固有種を含む様々な植物、そして様々な鳥類が生息しています。特に、エスペランサ山周辺の中央高原や高山草地、湿地、低木林、そして北岸の断崖下に広がる小さな海岸平野「ファジャン」は、ラムサール条約登録地にも指定されており、その生態系の豊かさを示しています。

「ファジャン」は、サント・クリスト・カルデラ・ファジャン、クブレス・ファジャン、そしてクブレス・ファジャン・ラグーンなど、様々な地形からなる貴重なエリアで、希少な植物や鳥類の生息地となっています。

代表的な植物としては、アゾレス諸島固有のミズゴケの泥炭地、Bellis azorica、Euphrasia grandiflora、Lactuca watsoniana、ポルトガルゲッケイジュなどが挙げられます。一方、動物相としては、コサギ、モリバト、マッコウクジラ、マイルカ、シロチドリ、ベニアジサシ、オニミズナギドリなどの生息が確認されています。

2016年には、ユネスコによって生物圏保護区にも指定され、その自然環境の保全と持続可能な利用が推進されています。

伝統と産業

サンジョルジェ島では、古くから農業と漁業が主要産業として営まれてきました。中でも特筆すべきは、EUによる保護原産地呼称認証を受けた「サン・ジョルジュチーズ（ケイジョ サン ジョルジュ）」です。このチーズは島の名前を冠し、その品質の高さと伝統的な製法で知られています。

穏やかな気候と豊かな自然に恵まれたサンジョルジェ島は、静かな休暇を求める旅行者にとって魅力的な場所です。雄大な自然、伝統的な文化、そして美味しいチーズを堪能できる、隠れた楽園と言えるでしょう。

アクセス

サンジョルジェ島には、サンジョルジェ空港があります。

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