サントゥール

サントゥール(سَنتور)は、イランを起源とする打弦楽器であり、その独特な構造と美しい音色で知られています。

構造と特徴

楽器本体はクルミ製の台形の箱型をしており、その上に多数の金属製の弦が張られています。弦は真鍮と鋼鉄が用いられ、低音弦には真鍮、高音弦には鋼鉄が使用されるのが一般的です。演奏には「メズラーブ」と呼ばれる、クワやクルミの木を細く削って作られた軽量な木製の撥を用います。メズラーブは人差し指と中指の間で保持し、弦を叩いて音を奏でます。典型的なサントゥールは、3オクターブの音域を持ち、2組のブリッジを備えています。

起源と伝播

サントゥールの名前は、ペルシア語で「百本の弦」を意味します。その語源は古く、アラム語のプサントゥリアやアッカド語のパントゥールに遡るという説もあります。サントゥールはイランから周辺地域へと伝播し、北インドやイラク、トルコなどでも同様の名前で呼ばれる楽器が存在します。また、ギリシアでは「サンドゥーリ」と呼ばれる類似の楽器が見られます。

類似の楽器

サントゥールは、様々な地域で独自の進化を遂げた類似の楽器を生み出しました。ハンガリーを中心とする東欧地域で見られるツィンバロム（ルーマニアではツァンバルなどとも呼ばれます）、ドイツやスイスなどのチロル地方のハックブレット、イギリス、アイルランド、アメリカなどで使われるダルシマー、中国の揚琴（ヤンチン）、朝鮮半島のヤングム（洋琴）、モンゴルのヨーチン、タイのキム（キムチンとも）などが、サントゥールと同系統の楽器として挙げられます。これらの楽器は、それぞれ異なる文化の中で独自の発展を遂げながらも、サントゥールとの共通点を持っています。

著名な奏者

サントゥールの演奏家としては、以下のような人物が挙げられます。

ファラマルズ・パイヴァール
パルヴィーズ・メシュカティアン
アルダヴァーン・カームカール
スィヤーバシュ・カームカール
谷正人
岩崎和音

これらの奏者は、サントゥールの演奏技術の発展に貢献し、その魅力を世界に広める役割を果たしてきました。

サントゥールは、その美しい音色と多様な文化との繋がりを通じて、世界中の音楽愛好家を魅了し続けています。

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