サンフランシスコ (重巡洋艦)

USS サンフランシスコ (CA-38)：太平洋戦争を生き抜いた重巡洋艦

USS サンフランシスコ (CA-38) は、アメリカ海軍のニューオーリンズ級重巡洋艦の5番艦として建造され、第二次世界大戦において数々の激戦を経験した勇ましい艦です。その艦名はカリフォルニア州サンフランシスコに由来し、同名の艦としては2隻目にあたります。

建造と就役

サンフランシスコは、カリフォルニア州ヴァレーホのメア・アイランド海軍造船所にて1931年9月9日に起工されました。ロンドン海軍軍縮条約の規定により、起工は大日本帝国にも通知されています。1933年3月9日にはバーバラ・M・バイリーによって命名・進水し、1934年2月10日にロイヤル・E・インガソル大佐の指揮下で就役しました。

大戦前の活動

就役後、サンフランシスコは慣熟航海でブリティッシュコロンビア、ワシントン州、ハワイ、メキシコなどを巡り、その後メア・アイランド海軍造船所に戻って砲身を交換しました。1935年2月には第6巡洋戦隊に加わり、ハワイやアラスカ近海での演習に参加。その後も太平洋東部での活動を続け、1939年1月には小アンティル諸島近海での演習に参加するため西海岸を離れました。3月には第7巡洋戦隊の旗艦となり、南アメリカ諸港を訪問する航海を行いました。

第二次世界大戦の勃発と真珠湾攻撃

1939年9月1日に第二次世界大戦が勃発すると、サンフランシスコは中立パトロールに従事し、西インド諸島を航行する船舶の護衛を行いました。1941年12月7日の真珠湾攻撃時には、サンフランシスコは海軍工廠の乾ドックでオーバーホール中でした。動力部分は分解され、搭載砲弾も陸上に保管されていたため、即座に使える兵器はわずかしかありませんでした。しかし、乗組員たちは可能な限り反撃に参加し、被害を免れました。

ガダルカナル島の戦い

太平洋戦争において、サンフランシスコは数々の重要な作戦に参加しました。1942年のガダルカナル島の戦いでは、上陸支援や輸送船団の護衛に従事しました。特に、10月11日のサボ島沖海戦（エスペランス岬沖海戦）では、第64任務部隊の一員として日本艦隊と交戦し、敵艦の撃沈に貢献しました。しかし、味方との誤射により損害を出す場面もありました。

1942年11月12日から13日にかけての第三次ソロモン海戦では、キャラハン少将の旗艦として日本艦隊と激戦を繰り広げました。この海戦でサンフランシスコは多数の命中弾を受け、キャラハン少将を含む多くの幹部が戦死しましたが、乗組員の奮闘により沈没を免れました。この功績により殊勲部隊章を受章しています。

その後の戦い

修理後、サンフランシスコはアリューシャン方面の戦いに参加し、アッツ島やキスカ島の奪還作戦を支援しました。1943年11月には、ガルヴァニック作戦に参加し、タラワ環礁に対する砲撃を行いました。1944年には、マーシャル諸島やトラック島への攻撃に参加し、サイパンの戦いではテニアン島やグアム島への砲撃を行いました。マリアナ沖海戦にも参加し、日本の艦載機を撃退しました。

1945年には、硫黄島の戦いや沖縄戦に参加し、上陸部隊への火力支援を行いました。沖縄戦では、特攻機の攻撃を受けるなど、激しい戦闘を経験しました。

戦後

終戦後、サンフランシスコは中国沿岸での示威活動や掃海作業の支援に従事し、1946年1月にアメリカに帰還しました。1946年2月10日に退役し、1959年3月1日に除籍され、1961年に解体されました。

戦没者の慰霊と栄誉

サンフランシスコは、その輝かしい戦歴と数々の武勲により、第二次世界大戦の戦功で17個の従軍星章を受章しました。また、サボ島沖海戦と第三次ソロモン海戦での戦功により殊勲部隊章を受章しています。

激戦で大きな損傷を受けた艦橋の一部は記念碑として保存されており、現在ゴールデン・ゲート・ナショナル・レクリエーション・エリアに設置されています。艦内時鐘はサンフランシスコのマリーンズ・メモリアル・クラブに展示されています。

USS サンフランシスコは、太平洋戦争を勇敢に戦い抜いたアメリカ海軍の象徴として、その名誉は永遠に語り継がれるでしょう。

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