サン＝ジョン・ペルス

サン＝ジョン・ペルスの生涯と業績

サン＝ジョン・ペルス（Saint-John Perse）、本名マリー＝ルネ・オギュスト・アレクシ・レジェ（Marie-René Auguste Alexis Leger）は、1887年5月31日にフランスの海外県グアドループのポワンタピートルで生まれました。彼は詩人として、また外交官としての多彩なキャリアを持ち、1960年にはその業績によりノーベル文学賞を受賞しました。

幼少期と教育

ペルスは、フランス本国とは異なる文化を持つグアドループにて、弁護士の父とプランテーションを営む家庭に生まれました。彼の家族はコーヒーとサトウキビの栽培を行っていましたが、1897年の政治的な変化により経済的困難に直面し、フランス本国に移住しました。フランスに着いたペルスは、土地に対する疎外感を抱え、スポーツに熱中することでその孤独を紛らわしました。

1904年になると、ボルドー大学で法学を学び始め、同時に文学的なサークルにも参加するようになります。ここで彼は後の文学仲間となるフランシス・ジャムやポール・クローデルと出会いました。彼の詩の才能は、1906年の処女作『ロビンソン・クルーソー』の翻訳から始まり、その後も様々な翻訳を手掛けることになります。

外交官としての活動

1911年、ペルスはフランス外務省に入省し、スペインやドイツ、イングランドでの勤務を経て、第一次世界大戦中は報道担当を務めました。戦後の1921年には北京のフランス大使館での勤務を経て、アリスティード・ブリアン首相の秘書として重要な役割を果たしました。

彼は政治への関与だけでなく、詩人としても活動を続けました。1924年にはペンネームサン＝ジョン・ペルスを使用し、小説『Anabase 遠征』を発表します。この作品は彼にとって大きな転機となり、詩人としての名声を確立しました。

戦争と亡命

1930年代、フランスの政治状況は不安定であり、ペルスは外務省事務総長として国際問題に対する影響力を持つ存在となりました。だが、1940年にはナチスドイツの侵攻の影響で、フランス政府から解任され、アメリカに亡命しました。この間、ペルスは名声を失い、経済的な困難も味わいましたが、アメリカ議会図書館での勤務を通じて再び文学活動を再開しました。

晩年とノーベル文学賞

戦後、彼は名誉を回復し、フランスとアメリカ間の生活を両立させつつ、さまざまな文学的イベントに参加しました。1958年にアメリカ人と結婚しながらも、彼は詩の創作に打ち込みました。1960年にはノーベル文学賞を受賞し、その業績が国際的に認知されることとなります。

彼の作品は、詩だけでなく、政治的な感受性や国際理解を深めるための橋渡しをするものであり、文学史における特異な位置を確立しています。日本でも彼の詩集や関連書籍が多く翻訳され、評価されています。

参考文献

• - 福田陸太郎訳 『遠征 Anabase』 昭森社、1957年
• - 多田智満子訳 『サン＝ジョン・ペルス詩集』 思潮社、1967年
• - 恒川邦夫著 『サン＝ジョン・ペルスと中国』 法政大学出版局、2020年

サン＝ジョン・ペルスは1975年にフランスのプロヴァンスで亡くなりましたが、彼の詩的な遺産は、今なお多くの人々に影響を与え続けています。

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