サーカスチャーリー

1984年、コナミからアーケードゲームとして登場した『サーカスチャーリー』は、サーカスを舞台にしたユニークな横スクロールアクションゲームです。プレイヤーは主人公であるピエロのチャーリーとなり、次々と提示される様々な演目に挑戦し、成功を目指します。

ゲームシステム

本作の操作は、左右移動とジャンプのみと非常にシンプルにまとめられています。しかし、このゲームの肝となるのは、そのジャンプのタイミングにあります。演目をクリアするためには、わずかな操作ミスも許されないほど緻密なタイミングが求められ、これがゲーム全体の難易度をやや高めています。プレイヤーが演目に失敗すると、チャーリーは「解雇」されてしまい、ゲームオーバーとなります。

アーケード版には、ゲーム開始時から六つの演目の中から自由に選択できるバージョンと、特定の条件を満たすまで選択できないバージョンが存在しました。後者の場合でも、空中ブランコのステージをクリアすると、以降は好きな演目を選んでプレイすることが可能になります。これにより、プレイヤーは得意なステージを繰り返しプレイしてスコアを伸ばすこともできます。

同じ演目を繰り返しプレイするごとに、難易度は段階的に上昇していきます。ただし、一つの演目を選択できる回数には制限があり、最大で六回までとなっています。六回クリアするとその演目は「NO MORE」と表示され、それ以上は選択できなくなります。最終的には、トランポリンの演目だけが延々と続く状態となります（バージョンによる差異あり）。

各演目には、特定の操作や条件を満たすことで得られる隠しフィーチャーやボーナス要素が多数用意されています。例えば、特定の場所でジャンプすると1UPアイテムが出現したり、特定の敵や障害物を同時に飛び越えることで高得点が得られたり、ノーミスやアイテム全回収でクリア時にスペシャルボーナスが発生したりします。これらの隠し要素を見つけ出し活用することも、攻略やハイスコアを目指す上で重要な要素となります。

ステージ構成

アーケード版は基本的に全6種類の演目と、特定の条件下で出現するおまけステージで構成されています。家庭用ゲーム機への移植版では、ステージ数が変更されている場合があります。

主な演目は以下の通りです。

- 火の輪くぐり: 炎の輪を飛び越えて進むステージ。大小様々な輪があり、タイミングが重要です。特定の操作で1UPやボーナスが出現します。
- 綱渡り: 高所にある一本の綱の上を猿を飛び越えながら渡ります。猿を複数同時や特定の猿を飛び越えることでボーナス点が得られます。
- トランポリン: トランポリンを使って高くジャンプし、障害物（人など）を避けながら進みます。アーケード版に存在しましたが、多くの家庭用移植版ではカットされています。
- 玉乗り: 大きな玉の上に乗って移動し、ジャンプで他の玉を飛び越えます。飛び越える玉の数に応じて得点が変わります。
- 曲乗り: ライオンなどの動物の背中に乗り、様々な高さのジャンプ台を利用しながら進みます。連続ジャンプや高いジャンプ台で得点が倍増するシステムがあります。
- 空中ブランコ: 空中でブランコから次のブランコへ飛び移っていくステージ。往復回数や飛び移るタイミングで得点が変動します。ブランコの揺れを操作するテクニックも存在します。
- 水上トランポリン: トランポリンの亜種で、イルカが水中から飛び出してきて進路を妨害します。アーケード版のおまけステージとして存在し、こちらも家庭用移植版ではカットされていることが多いです。

移植と展開

『サーカスチャーリー』は、その人気から様々なプラットフォームに移植されました。日本国内では、1984年7月にコナミ自身からMSX版が発売されたほか、1986年 3月4日にはソフトプロよりファミリーコンピュータ版がリリースされました。これらの家庭用版では、アーケード版にあったトランポリンや水上トランポリンのステージが削除されている点が大きな違いとして挙げられます。

後の時代にも、アーケード版が複数のオムニバス作品に収録されました。1999年の『コナミ80'sアーケードギャラリー』や、2007年の『コナミアーケードコレクション』などです。また、過去には携帯電話向けのアプリとして一部のステージが個別に配信されていた時期もありましたが、現在はサービスを終了しています。近年では、2015年 6月24日よりMSX版がWii Uのバーチャルコンソールで配信され、手軽にプレイできるようになっています。

家庭用版の一部では、BGMにフランク・W・ミーチャム作曲の行進曲「アメリカン・パトロール」の一部が使用されており、ゲームの賑やかな雰囲気を盛り上げています。

評価

ファミリーコンピュータ版は、当時のゲーム雑誌『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票集計「ゲーム通信簿」で、30点満点中16.39点という評価を得ています。同誌のレビューでは、「技のタイミングをとるのが難しい」と、ゲームの難易度に関する言及が見られます。

MSX版について、専門誌『MSXマガジン』のレビューでは、コナミらしい凝ったグラフィックは評価されつつも、サーカスの持つ臨場感や興奮の伝わり方にやや物足りなさを感じさせるとのコメントがあり、五つ星評価中「★★★☆☆」とされています。ゲームクリエイターのゾルゲ市蔵氏は、ゲーム本の中で個人的評価を100点中65点とし、1ドットスクロールやスプライトを巧みに利用したグラフィックやゲーム性の再現度を肯定的に評価する一方、やはり難易度については指摘しています。彼は、ソフトプロから発売されたファミリーコンピュータ版よりもMSX版の方が良いかもしれない、との感想も述べています。

難易度の高さがしばしば挙げられる本作ですが、そのシンプルながら奥深いジャンプアクションは多くのプレイヤーを熱中させ、レトロゲームとして今なお語り継がれる作品となっています。

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