サード (映画)

映画『サード』解説

『サード』は、1978年に公開された東陽一監督による日本映画です。原作は軒上泊の『九月の町』。寺山修司が脚本を手掛け、都会に出るための金策として売春に手を染めた少年少女たちの過酷な現実と、その後の少年院での生活を描いています。

あらすじ

主人公の新次は、都会で暮らすための資金を稼ぐため、女友達と共に売春を始めます。しかし、ヤクザとのトラブルから相手を死なせてしまい、少年院へ送られることに。そこで、彼はかつて野球部で三塁を守っていたことから「サード」というあだ名で呼ばれるようになります。

少年院での生活は、夜な夜な慰問に訪れる女性たちへの妄想と、悪夢に苛まれる日々。新次は、自分が守るべき三塁を敵チームが駆け抜け、ホームを目指す悪夢を見ます。自分が打った長打でホームを目指しても、そこにはホームベースが存在しないのです。彼は何度も走り続けるものの、決してホームにたどり着くことができません。

キャスト

“サード”妹尾新次：永島敏行
IIB：吉田次昭
新聞部：森下愛子
テニス部：志方亜紀子
サードのおふくろ：島倉千代子
ヤクザ：峰岸徹
赤いセーター：片桐夕子
黄色いスカート：小林悦子

その他、水岡彰宏、内藤武敏など、個性豊かな俳優陣が脇を固めています。

スタッフ

原作：軒上泊
脚本：寺山修司
監督：東陽一
撮影：川上皓市、小林達比古
音楽：田中未知

受賞

芸術選奨 文部大臣新人賞
第52回キネマ旬報ベスト・テン 日本映画作品賞、監督賞
第33回毎日映画コンクール 日本映画優秀賞
第3回報知映画賞 最優秀作品賞
第21回ブルーリボン賞 作品賞

数々の映画賞を受賞し、高い評価を得ています。

テーマと見どころ

『サード』は、少年犯罪、貧困、性と暴力など、重いテーマを扱っています。少年たちの心の葛藤や、社会の不条理を容赦なく描き出し、観る者に深い問いを投げかけます。

永島敏行の体当たりの演技、寺山修司による前衛的な脚本、東陽一監督の映像表現など、見どころ満載の作品です。特に、新次が見る悪夢のシーンは、観る者の心に深く刻まれるでしょう。

関連情報

サード - allcinema
サード - KINENOTE
サード - オールムービー（英語）
サード - IMDb（英語）

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