サーム級フリゲート

サーム級フリゲートについて

サーム級フリゲートは、イラン海軍で運用される艦艇の一種で、イギリスのヴォスパー社がデザインしたMk.5フリゲートを基にしています。この艦級は、当初は駆逐艦として分類されており、就役時には護衛駆逐艦の艦種記号を持っていましたが、イラン革命後に艦名が変更され、以降は山岳名を冠するようになりました。そのため、この艦級はアルヴァンド級フリゲートとも呼ばれています。

来歴

1960年代初頭、イラン海軍はアメリカとイギリスを中心とした西側諸国からの支援を受けていました。この頃、イギリスのヴォスパー社は、旧イギリス植民地を含む開発途上国向けに艦艇を開発・輸出する事業に力を入れていた。1966年、イラン海軍はヴォスパー社に4隻のMk.5フリゲートを発注しました。この発注を受けて建造されたのがサーム級フリゲートです。

設計

サーム級はヴォスパーMk.5フリゲートの設計を採用しつつ、海軍の指針に基づいて耐衝撃性を最適化しました。この設計変更により建造コストは大幅に削減され、さらに自動化を進めることで運用の効率も改善されています。その上部構造は軽量のアルミニウム合金で作られ、艦内にはエアコンが設置されています。また、隠顕式フィンスタビライザーにより、航行中の安定性が向上しています。

装備

サーム級は1250トンの排水量にもかかわらず、非常に武装が強力です。搭載されているレーダーには、対空および対水上用のプレッシーAWS-1と、火器管制用のシーハンターRTN-10Xがあります。また、ソナーは174型と170型を装備し、高速飛行時の抵抗を軽減するために隠顕式ソナードームが採用されています。

主砲は艦ごとに異なり、早期の艦では114mmの連装砲を、後期には速射砲に変更されました。艦尾には35mmの連装機銃を装備し、対空用にはシーキャット防空ミサイルの発射機が設置されています。また、対艦兵器としてイタリア製のシーキラーを搭載し、後には中国製のC-802ミサイルに換装されました。対潜装備についても、リンボー対潜迫撃砲から短魚雷発射管への変更が見られます。

運用史

サーム級の艦艇である「サバラーン」と「サハンド」は、1988年にアメリカ軍との交戦において大きなプレッシャーを受けました。「サハンド」はその際に撃沈され、「サバラーン」は大破する状態となりましたが、一応修理は行われました。2020年には、2番艦のアルボウズが新たな国産戦闘システムを装備するなど、近代化が進められています。

このように、サーム級フリゲートは歴史的背景や設計思想、装備の観点からも非常に興味深い艦級であり、イラン海軍において重要な役割を果たし続けています。

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